研究実績の概要 |
本研究の目的は、胃癌患者におけるNivolumabによる免疫療法の効果予測を行うことである。免疫担当細胞の機能に主眼を置いて新たなバイオマーカーの検索、すなわち細胞傷害性 Tリンパ球、ヘルパー Tリンパ球、抗原提示細胞における免疫チェックポイント分子の解析を末梢血で行い、Nivolumabの効果との関係を検討することが目的である。これらの研究目的と当初の研究実施計画に基づき以下の研究を実施した。 切除不能・再発胃癌症例10例に対して、3次治療として Nivolumabによる免疫療法を施行した。これらの患者から治療開始前と開始後2、4、6、8週目、その後は4週おきに治療が無効となるまで末梢血を採取し(各15ml)、末梢血単核球(PBMC)を分離し凍結保存した。10例中2例において Nivolumabの治療効果が認められ(PR)、1例がSD、7例がPDであった。 治療有効(PR/SD, n=3)群と無効(PD, n=7)群に分け、治療開始前と開始6週間後の末梢血好中球/リンパ球比(NLR)の増加率を検討すると、治療有効群で有意に低かった。このNLR増加率に着目し、カットオフ値を中央値の138.1%とし、それ以上の増加を示したものはNLR上昇群(n=5)、それ以下をNLR維持群(n=4)で生存期間を比較するとNLR増加群で有意に予後不良であった。 また保存してあるPBMCを用いて、フローサイトメトリーにより以下の測定を行った。CD4, CD8における PD-1, Tim-3, Ki-67の発現、抗原提示細胞 (CD14)における PD-L1の発現、Treg、myeloid-derived suppressor cells (MDSC)の割合を測定した。これらのパラメーターは、治療前と治療後のPBMCにおいて測定し治療効果と比較検討した。
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