研究課題/領域番号 |
18K08681
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸明 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50526910)
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研究分担者 |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
友近 忍 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30403679)
硲 彰一 山口大学, 医学部, 教授(寄附講座等) (50253159)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ペプチドワクチン療法 / 免疫チェックポイント阻害剤 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
【はじめに】日本でも2000年前後から各種がんに対するペプチドワクチン療法が行われてきたものの、いまだ必要十分な効果が得られているとはいい難い。一方、免疫チェックポイント阻害剤を用いた新たな免疫療法は、近年その成果が報告されている。【結果】サイトカインや免疫細胞等の抑制性腫瘍微小環境の解析で、疲弊マーカー(PD-1、TIM-3)が有効性の重要なバイオマーカーであり、Poly- ICLCとLAG-3Igは、これら免疫疲弊を回復させ、がん特異的免疫を活性化することを確認した。これらの前臨床試験の後、さまざまな消化器癌に対するこれらの免疫アジュバントと新規腫瘍抗原(HSP70およびGPC3)由来マルチHLA-class I結合性ペプチドを用いた第I相試験を実施し、安全性、比較的早い段階での強力なCTL誘導、並びに17症例中10症例での腫瘍マーカーの減少を認めた。さらに、切除可能なHCC患者の周術期において同じ免疫療法の第I相試験を開始した。中間解析により、HSP70およびGPC3抗原を発現する腫瘍病変へのCD8+T細胞およびPD1+T細胞の強い浸潤を認めた。また約50種の抗体を用いたマスサイトメトリー(CyTOF)からPBMCとTILのT細胞疲弊・活性化マーカーやeffector Tregなどを探索的に解析した結果、ワクチン接種後のPBMCのT細胞疲弊マーカー(BTLAとCCR4)の減少(p=0.03, p=0.06)並びにTILのPD1発現亢進とグランザイムBとパーフォリンの低発現が明らかになった。【結語】本免疫療法は,T細胞を局所に誘導してcold tumorからhot tumorへ変える働きがあることが示唆された。また,TILにおけるPD1発現や免疫疲弊状況が確認され、次の新規免疫療法としてICIと本ワクチン療法併用の理論的根拠が得られた。
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