研究課題/領域番号 |
18K08682
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永井 俊太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (90755240)
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研究分担者 |
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
今泉 晃 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30624051) [辞退]
三好 圭 九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
山崎 章生 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80404440)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スキルス胃癌 / 線維化 / 免疫治療 / 癌浸潤リンパ球 / hedgehog阻害剤 / 抗腫瘍効果 / 新規治療法開発 / 免疫監視機構 |
研究実績の概要 |
本研究は、①Hedgehog(Hh)シグナル阻害剤がスキルス胃癌の線維化を抑制できるか、それに伴い②リンパ球組織浸潤が促進され免疫監視機構が構築でき、抗腫瘍効果が増強されるか、を検証することが目的である。我々は、スキルス胃癌と共に膵癌においても実験を継続しており、本年度は膵癌において研究を発展させることとした。Hh阻害剤は、膵癌細胞だけでなく、癌関連線維芽細胞(CAFs)の増殖、遊走を抑制し、さらにCAFs の細胞外基質やTGF-β1産生、膵癌細胞のHLA-ABC発現および、リンパ球のIFN-γ産生を亢進した。また、免疫不全マウスを用いた治療実験で、免疫染色(Masson Trichrome、alpha SMA、CD3、CD8、PD-L1染色)を行い、Hh阻害剤は、in vivoでは膵癌の線維化を抑制し、腫瘍への免疫細胞浸潤を増加させることが分かった。さらに、免疫不全マウスを用いた Hh阻害剤と抗PD-1抗体との併用による治療実験では、抗PD-1抗体に対する上乗効果が認められ、併用により抗腫瘍効果が増強した。自己の癌細胞とリンパ球を用いたautologous実験系でも同様の抗腫瘍効果の増強作用が認められた。これらの結果より、我々は、Hh阻害剤が直接の腫瘍抑制効果に加えて、膵癌線維化の抑制により免疫細胞浸潤を亢進させ、それに伴い免疫治療効果を増強させていると考えている。なお、この結果は論文に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、膵癌において、Hh阻害剤が直接の腫瘍抑制効果に加えて、膵癌線維化の抑制により免疫細胞浸潤を亢進させ、それに伴い免疫治療効果を増強させている結果を得て、論文に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スキルス胃癌において、Hh阻害剤が線維化の抑制により免疫細胞浸潤を亢進させ、それに伴い免疫治療効果を増強させることができるかを、膵癌と同様のマウスモデルを確立して実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
企業と共同研究が組めたことにより薬剤購入の出費を抑えられたこと、および、免疫不全マウスを用いた実験が順調に行えたことにより、研究費を次年度に繰り越すことができた。今年度は、スキルス胃癌において、Hh阻害剤が線維化の抑制により免疫細胞浸潤を亢進させ、それに伴い免疫治療効果を増強させることができるかを、膵癌と同様のマウスモデルを確立して実験を行う予定で、その実験に繰り越した費用を当てる予定である。
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