研究課題/領域番号 |
18K08686
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
高橋 伸育 宮崎大学, 医学部, 助教 (20404436)
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研究分担者 |
豊嶋 典世 (青山典世) 宮崎大学, 医学部, 講師 (10468035)
澤口 朗 宮崎大学, 医学部, 教授 (30336292)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝様腺癌 / 三次元培養 |
研究実績の概要 |
胃癌の特殊型である肝様腺癌は血清AFPの上昇を伴い、通常の胃癌と比較して高率に脈管侵襲や肝転移を起こし、薬剤への抵抗性を示す予後不良の疾患である。その報告は年々増加する一方、生物学的特性については不明な点が多く、研究に有用なツールも不十分である。研究代表者は十二指腸乳頭部を由来とする新規肝様腺癌細胞株の樹立に成功しており、これを用いて浸潤、転移に関わる因子を同定し、有効な治療戦略を確立することが本研究の目的である。Glypican-3 (GPC3)は肝細胞癌に特徴的なマーカーであり、予後不良因子として報告されている。この遺伝子に対する新規抗体gc33を用いた実験では抗体依存性細胞性細胞障害作用を賦活させることにより抗腫瘍効果があることが報告されており、抗体 gc33を肝細胞癌と類似した性質を持つ肝様腺癌に応用することで、予後不良な肝様腺癌の治療法にブレークスルーをもたらすことが期待される。まず初年度の実験として、肝様腺癌細胞株ではRT-PCR法でAFP, GPC3が高発現していると考えられたため、立体構造を構築できるコラーゲンゲルを用いた三次元培養法で細胞塊の作成を試みた。当研究室で樹立した肝様腺癌細胞株VAT-39は効率的に最大径4㎜の細胞塊を作製することができたが、他の肝様腺癌細胞株では発育が非常に遅く、予定していた免疫染色、電顕観察には至らなかった。培地の量や他のメーカーのセルカルチャーインサートを試してみたが、やはり実験に飼養できるだけの大きな細胞塊は形成されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞株を三次元培養して動物実験の予備実験を行う予定であったが、計画していた肝様腺癌の細胞株のうち、満足できるサイズの細胞塊を得られたのは1つだけであった。唯一得られた細胞塊を用いてcDNAを作製しRT-PCR反応でAFPやGPC3の発現チェックを行うことができた。またパラフィン切片の作製と電顕用試料作製も予定通り完了した。
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今後の研究の推進方策 |
他の細胞株に対して脳下垂体抽出物やマルチホルモン、またはマトリゲル等を培地に添加してみて状況の改善を図る予定である。問題が解決されない場合は、動物実験での資料作成に移行する予定である。当初の予定通りsiRANを用いたAFP, GPC3の抑制は、予備実験として大きい細胞塊が作製された細胞株に対して施行する計画である。
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