研究課題/領域番号 |
18K08689
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 博士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20732481)
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研究分担者 |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
塩崎 敦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40568086)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胃十二指腸外科学 / 癌幹細胞 / イオンチャネル |
研究実績の概要 |
ヒト胃癌細胞株MKN74より、CD44高発現細胞をsorting後、sphere形成能を有する細胞のみを分離培養した。分離培養した細胞株においてCD44 mRNAは高発現しており、抗癌剤(シスプラチン)耐性が確認できた。MKN74由来癌幹細胞株と親株での遺伝子発現をmicroarrayを用いた網羅的解析により比較検討したところ、CXCR4、ZEB1、CD44,POU5F1、ALDH1A1などの癌幹細胞マーカーの上昇と共に、CACNA2D1、CACNB4等の電位依存性Ca2+チャネル(voltage-gated Ca2+ channel: VGCC)の発現増強が確認された。VGCCに着目し解析を進めたところ、CACNA2D1阻害剤であるアムロジピンや、CACNB4阻害剤であるベラパミルが、癌幹細胞においてより強い増殖抑制効果を示し、sphere形成能を抑制することが解明された.アムロジピンは高血圧・狭心症治療薬として、ベラパミルは抗不整脈として臨床で広く用いられている薬剤である。また、MKN74細胞をアムロジピンやベラパミルで処理するとCD44 mRNA発現は有意に減少した。更に、マウス皮下腫瘍モデルを用いて検証したところ、シスプラチンにアムロジピンやベラパミルを併用することにより、シスプラチン単剤投与群に比較し、皮下腫瘍成長が有意に抑制された。これらの研究成果は英文論文として報告した(Ann Surg Oncol. 2021)。 一方で、食道癌におけるANO9 (Ann Surg Oncol. 2020)、CLCN2 (Ann Surg Oncol. 2021)、CFTR (Ann Surg Oncol. 2021)、胃癌におけるANO9 (Cancer Sci. 2021)などのイオン輸送体の機能解析・臨床病理学的意義を解明した。同時に、上部消化管癌における、イオンチャンネルを介した細胞死・生存制御機構に関する新知見と既報を総説論文としてまとめた(Front Cell Dev Biol. 2021)。
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