研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、肝外胆管がん疑いの閉塞性黄疸患者より採取した胆汁を用い、胆汁内の腫瘍由来無細胞DNA(ctDNA)を検出することにより胆管がんの治療前診断を行う新しいリキッドバイオプシープラットフォームの確立である。 初年度の主目標は胆汁内ctDNA検出のための条件設定と、診断のための遺伝子の選択であった 1. まず、胆汁内DNA抽出の条件最適化のため、41例の悪性(疑い、膵癌など胆管がん以外の悪性腫瘍含む)閉塞性黄疸患者と3例のコントロール患者(良性胆道疾患で胆嚢摘出術施行)より採取した胆汁を用いて検討をおこなった。最適条件(胆汁の希釈率、pH調整など)の調整はほぼ終了し、これまでの胆汁内の無細胞DNA検出率は91%(41/44例)であった。今後も同条件で解析を続けていく。 2. がん診断用の遺伝子パネルに関しては、既知の14遺伝子(AKT1, BRAF, CTNNB1, EGFR, ERBB2, FBXW7, GNAS, KRAS, MAP2K1, NRAS, PIK3CA, SMAD4, TP53, and APC)の240以上のホットスポットをカバーするIon 530チップを用いたが、癌患者40例内でのTP53とKRASの検出率はそれぞれ28%、20%で、その他の比較的低頻度の遺伝子変異を加えると、胆汁内のctDNA検出率は71%となり、胆汁細胞診の陽性率31%と比べ、有意に高い検出率を示した。そのため、遺伝子パネルに対しては市販のパネルで解析をすすめる予定である。
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