研究課題/領域番号 |
18K08692
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
伊藤 寛倫 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (30790539)
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研究分担者 |
前佛 均 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター リキッドバイオプシー診断開発プロジェクト, プロジェクトリーダー(部長クラス) (90372820)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝外胆管がん / リキッドバイオプシー / 胆汁 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、肝外胆管がん疑いの閉塞性黄疸患者より採取した胆汁を用い、胆汁内の腫瘍由来無細胞DNA(ctDNA)を検出することにより胆管がんの治療前診断を行う新しいリキッドバイオプシープラットフォームの確立である。 初年度は、胆汁内ctDNA検出のための条件設定を終え、胆管がんのための胆汁リキッドバイオプシーとして、市販のIon530チップを用いた14遺伝子、240以上のホットスポットのシークエンスで比較的良好な変異遺伝子検出率を得られることを確認した。 2年目となる本年度の目的は新たにリクルートした肝外胆管がん患者の胆汁、血液よりctDNAを抽出すること、さらに胆管がん切除組織を用いて、腫瘍のゲノム解析をすすめることであった。 本年度、新たに30名の肝外胆管がん患者より閉塞性黄疸治療の際に胆汁と血液のサンプルを採取した。うち15名は腫瘍切除を行い、ゲノム解析用に組織を保存しえた。 前年に保存した8例の胆管がん患者からの胆汁と合わせ、計38例の肝外胆管がん患者の胆汁からのctDNAの抽出を行った。 最終年度である今年は、これらctDNAのシークエンスと手術組織のゲノム解析を行い、最終的な胆汁リキッドバイオプシーによる胆管がんの診断能の評価と、ctDNA解析で検出される変異遺伝子と組織ゲノムの遺伝子変異の一致率の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度途中まで、患者のリクルートと胆汁検体の採取も順調で、総計38例の肝外胆管がん患者より胆汁、さらに切除可能であった15名よりゲノム解析用の腫瘍組織を凍結保存し得た。年度末の新型コロナウイルス流行のため、研究所でのDNA解析が行えなかったこと、当院の新規患者の激減により、研究の進捗は予定より遅れ気味となった。
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今後の研究の推進方策 |
1.すでに最適化された胆汁内cfDNA検出系を用い、採取された胆汁のctDNAシークエンス、癌組織検体のゲノム解析をすすめる。 2.従来の胆汁細胞診による肝外胆管がんの診断能と、胆汁リキッドバイオプシーによる診断能の比較を行う。胆汁内のctDNAと手術切除検体内のゲノム解析との一致率についての解析を行う。 3.得られた結果を論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行による研究所一時閉鎖のため、年度末時のゲノム解析作業が行えず、今年度の経費が予定を下回った。これらの解析業務は研究所が再稼働し次第、次年度におこなわねばならず、余剰金を含め、翌年度分の助成金と合わせて使用する予定である。
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