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2018 年度 実施状況報告書

大腸癌のサブクラス分類に対応するマウスモデルとオルガノイドの確立とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K08694
研究機関独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部)

研究代表者

檜井 孝夫  独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10444689)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード大腸癌マウスモデル / サブクラス分類 / オルガノイド
研究実績の概要

私共は、これまで大腸上皮細胞特異的Apcノックアウトマウス及び、Apcと別のドライバー遺伝子変異(Kras, TgfbRII, Ptenなど)を持つ複合的遺伝子改変マウスを作製し、CMS分類の各サブタイプに一致する自然発生の大腸浸潤癌を持つマウスモデルを確立してきた。本研究では、これらのマウスモデルで発生する腫瘍から、CMS分類の各サブタイプに対応したマウス腫瘍のオルガノイドを作製し、その遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析しCMS分類の各サブタイプに特徴的な分子マーカーを同定、確認をした上で、抗がん剤のスクリーニングをin vitro実験系で行うシステムを構築し、CMS分類サブタイプ別に行う個別化医療に必要な動物実験モデルにおける基盤的研究の確立をめざしている。
これまでに確立した大腸癌マウスモデルとして、粘液癌が発生するApc+TgfbRII欠損マウス(CMS1)、高分化型腺癌が発生するCPC-APCマウス(CMS2)、胃型大腸癌が発生するApc+Cdx2欠損マウス(CMS3)、高度浸潤癌が発生する Apc+Pten欠損マウスまたはApc+変異型Krasモデル(CMS4)が対応する。(1)CMSマウスモデルの作製:既にCMS1, CMS2, CMS4のモデルを作製すみである。現在Apc+Cdx2欠損マウス(CMS3)を作製準備中である。これら4種類のCMSマウスモデルから腫瘍細胞を回収して転写産物、病理検体、オルガノイドを作製する。(2)CMS分類の分子マーカーの同定:腫瘍の継時的な形態変化の前後で発現量が変化する転写産物を網羅的に解析し、CMSの各サブタイプに関連する分子マーカーの同定を試みる。(3)オルガノイドの作製と評価:オルガノイドの形態の観察ならびに分子マーカーの発現解析をin vitro実験系で行う。抗がん剤のスクリーニングに応用可能かどうかも検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子改変により高分化型(CMS2), 高度浸潤型(CMS4), MSI-粘膜癌型(CMS1)の形態をもつマウスモデルを確立した。これらの腫瘍細胞から転写産物、病理検体、オルガノイドを作製中であり、現在Apc+Cdx2欠損マウス(CMS3)を作製中である。これら4種類のCMSマウスモデルから腫瘍細胞を回収して転写産物、病理検体、オルガノイドを作製している。CMS分類の分子マーカーの同定:CMS1, CMS2, CMS4のマウスの腫瘍で、Apc単独変異マウスをコントロールとして転写産物を網羅的に解析し、CMSの各サブタイプに関連する分子マーカーの同定を試みた。
オルガノイドの作製と評価についても、オルガノイドの形態の観察ならびに分子マーカーの発現解析をin vitro実験系で行っている。抗がん剤のスクリーニングに応用可能かどうかも検証の準備を進めている。
回収した転写産物の発現プロファイルの比較を網羅的遺伝子発現解析用のDNAチップ(affymetrixのMouse Gene 1.0 ST Array、28,853 gene)6-10枚を用いて解析した。CMS分類の各サブタイプのマウスで、形態変化をもたらす可能性のある分子マーカーの候補遺伝子(約10-20個前後)を50個前後in silico解析で選択し、さらにquantitative PCR法で20個前後まで絞り込み、既製の抗体があるものについては、Western blot法や免疫組織染色で分子の局在と形態変化の相関を検証し、最終的には分子マーカーの候補遺伝子を各サブタイプごとに10個程度まで絞り込んでいる。

今後の研究の推進方策

動物実験が困難な研究室でも形態変化についての三次元細胞培養ができるようCMS分類の各サブタイプにおけるオルガノイド・ライブラリーを作製する。転写産物、蛋白質を回収し、元の癌組織の発現プロファイルを再現していることをquantitative PCR法ならびにWestern blot法で確認する。続いてオルガノイドを使って、CMS分類の各サブタイプで薬剤スクリーニングのモデルを確立する。オルガノイドの作製は、連携研究者の坂本直也が、手技を確立しており、既にヒトやマウスの大腸癌からオルガノイドの作製に成功しており、順次作成後、解析を進める。
研究体制については、研究代表として研究を統括している檜井孝夫が、呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部分子腫瘍研究室長・外科医長から、2019年4月付けで広島大学病院遺伝子診療部特任教授に着任し、現在、広島大学病院でも研究体制を確立中である。広島大学の大学院生である)河内雅年(動物実験全般担当)、佐田春樹(遺伝子組換え実験担当)が研究を推進する。遺伝子改変マウスの作製・維持には、外丸祐介(広島大学自然科学研究支援開発センター動物実験部、教授)が担当し、得られた腫瘍の病理学的解析とオルガノイドの作製は坂本直也(広島大学分子病理学教室、助教)が担当する。遺伝子解析結果の検討は、池上恒雄(東京大学医科学研究所臨床ゲノム腫瘍学分野、准教授)が担当予定である。

次年度使用額が生じた理由

使用物品の購入が間に合わなかったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Signal regulatory protein alpha blockade potentiates tumoricidal effects of macrophages on gastroenterological neoplastic cells in syngeneic immunocompetent mice.2018

    • 著者名/発表者名
      Abe T, Tanaka Y, Piao J, Tanimine N, Oue N, Hinoi T, Garcia NV, Miyasaka M, Matozaki T, Yasui W, Ohdan H.
    • 雑誌名

      Ann Gastroenterol Surg

      巻: 2(6) ページ: 451-462

    • DOI

      10.1002/ags3.12205

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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