研究課題
私共は、これまで大腸上皮細胞特異的Apcノックアウトマウス及び、Apcと別のドライバー遺伝子変異(Kras, Braf, Ptenなど)を持つ複合的遺伝子改変マウスを作製し、CMS分類の各サブタイプに一致する自然発生の大腸浸潤癌を持つマウスモデルを確立してきた。本研究では、これらのマウスモデルで発生する腫瘍から、遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析しCMS分類の各サブタイプに特徴的な分子マーカーを同定、確認をした上で、CMS分類サブタイプに応じた大腸癌に対する抗がん剤のスクリーニングをin vitro実験系で行うシステムを構築するための基盤的研究を行なっている。まず、Apc欠損にKrasあるいはBrafを活性化した二つのマウスモデルでのデータを重ね合わせて、Kras-Braf axisによるMapk pathwayの活性化したモデル(CMS3もモデル)では、Greb1の標的分子として活性化していることが示唆された。また、Apc+Pten欠損マウス(CMS4のモデル)で特異的はPhenotypeが出たため追加解析を行なった。腫瘍の新鮮凍結検体からマイクロダイセクション法で腫瘍部分と正常部分の組織由来のtRNAを抽出し、網羅的遺伝子発現解析用のDNAチップ(affymetrixのMouse Gene 1.0 ST Array、28,853 gene)を用いて転写産物の発現プロファイルを比較した。KEGG C2 gene setを使ったGene Set Enrichment Analysis (GSEA)での解析では、Ptenのヘテロでの欠失により、8つのpathwayが上昇し、28のpathwayが抑制されていた。これらマウスモデルから作製したオルガノイドを使って、今後、抗がん剤のスクリーニングに応用可能が期待できる結果が得られつつある。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Cancer Science
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BMC Medical Genetics
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