研究課題/領域番号 |
18K08695
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
石戸 圭之輔 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (00436023)
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研究分担者 |
工藤 大輔 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (00587024)
袴田 健一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30271802)
脇屋 太一 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50571246)
木村 憲央 弘前大学, 医学研究科, 講師 (60436029)
柿崎 育子 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80302024)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膵星細胞 / gemcitabine / nab-paclitaxel / 間質制御 |
研究実績の概要 |
本研究は、膵癌細胞間質に存在する活性化膵星細胞を、間質の特長的所見であるdesmoplasiaをコントロールすることにより、不活化に導く方法を確立することを目的としている。これまで得られた結果を報告する。 膵癌の間質制御効果を持つとされている化学療法剤であるgemcitabineとnab-paclitaxel(GnP療法)を用いた後に切除に至った膵癌切除症例を検討し、同化学療法の間質制御を確かめた。また対照群としてgemcitabine及びS-1(GS療法)を用いた化学療法後に切除に至った症例(GS療法群)及び化学療法を行わずに切除した非化学療法症例(対照群)を用いて、比較検討を行った。検討はそれぞれの群の間質HE所見、αSMA染色所見及びMasson-Tricrome染色所見の比較とした。 その結果、同化学療法を用いて切除に至った膵癌症例はに比べて、有意に腫瘍縮小効果及び腫瘍マーカー(CA19-9)の減少効果を認めていた。また、膵癌間質の検討では、GnP療法群はその他の群に比べて間質の未熟線維芽細胞が有意に減少していた。さらに、GnP療法群はを活性化膵星細胞のマーカーであるαSMAを用いた免疫染色を行い、化学療法を行っていない症例及びGS療法を行った後に切除に至った症例に比べて、有意に同染色領域が減少していることが明らかになった。また、間質をMasson-Tricrome染色法を用いてコラーゲン線維の増生を確かめた。その結果、GnP療法群はGS療法群と非化学療法群に比べて、有意に間質のコラーゲン増生が増加していた。 以上の結果より、GnP療法は膵癌の間質に存在する未熟線維芽細胞である活性化膵星細胞を特異的に減少させる作用を持ち、この結果得られる間質のコラーゲン増生は、腫瘍縮小効果や腫瘍マーカー減少効果にみられる抗膵癌作用に関連していることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵癌間質を制御する可能性が報告されている化学療法剤を用いて、膵癌切除標本を用いてその効果を確かめることができた。この点において、申請時の計画どおりに概ね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
膵癌間質を制御するメカニズムに関して、その他の免疫染色を用いた検討を行う方針である。上記化学療法剤が活性化膵星細胞を抑制させ、この作用により膵癌を死滅させるメカニズムを明らかにする。 最終的には4-Methylumberiferoneを併用した間質制御増強作用を明らかにすることを本研究の目標地点として研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由といたしましては、動物実験が予定より遅延していることが挙げられます。現在は病理学的研究を進めており、目標到達に着実に向かっている状況です。翌年度分として請求した助成金と合わせて、研究費申請計画に合わせて研究を進めていく予定です。
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