研究課題
本研究の目的は、「胃癌における癌遺伝子解析パネルを用いたhomologous recombination (HR)関連遺伝子異常の評価、およびその臨床的意義を明らかにすることで、HR関連遺伝子異常を基軸とした胃癌薬物治療の発展への足がかりとすること」である。これまでの研究から、癌遺伝子パネルによるHR関連遺伝子異常と抗γH2AX抗体による免疫組織化学により評価された胃癌DNA二本鎖修復機構の破綻とを比較したが、統計学的な関連は認められなかった。しかし、HR関連遺伝子異常を認める症例では白金系抗癌剤の治療効果が高く、再発後の予後が良好であることが示された。また、Mutational signatureと白金系抗癌剤の治療効果との関連を検討した。Signature 1/3/5/6/22/othersはResponder群で34%/31%/0%/12%/10%/12%、non-Responder群で28%/23%/9%/27%/7%/6%であった。Signature 3は白金系抗癌剤の治療効果と関連していることが報告されている。本検討でもResponder群はnon-Responder群と比較してSignature3の割合が高く、胃癌においてもSignature 3が白金系抗癌剤の奏功性と関連している可能性が示唆された。本年度は上記の研究成果を英文論文にまとめ、学術雑誌に投稿し、現在査読中である。