研究課題/領域番号 |
18K08711
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
山口 洋志 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80457704)
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研究分担者 |
小島 隆 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30260764)
竹政 伊知朗 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50379252)
木村 康利 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (80311893)
今村 将史 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00404608)
永山 稔 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40398326)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膵管内乳頭粘液性腫瘍 / GNAS / IL-1ファミリー / SOX転写因子 |
研究実績の概要 |
本研究は、膵管内乳頭粘液性腫瘍を発生する新規マウスモデルの研究から発見された、病態関連分子に関して、ヒト膵管内乳頭粘液性腫瘍における機能を明らかにし、新規診断・治療標的分子となり得るのか、その臨床応用的意義を明らかにすることを目的としている。これまでの研究活動スタート支援(16H07095)の成果から、IL(インターロイキン)-1ファミリーとSOX転写因子等に注目した解析を行っている。 当科における膵管内乳頭粘液性腫瘍切除例のデータベースを作成し、臨床・病理学的特徴や手術成績を明らかにした。膵管内乳頭粘液性腫瘍には、その進行程度によって腺腫相当の病変から浸潤癌までの幅広い病態が含まれ、その診断が臨床上大きな問題となっている。腺腫病変と浸潤癌病変を選んで、病態関連分子の免疫染色を進め、病態分子発現状態の違いが明らかになりつつある。その結果、膵管内乳頭粘液性腫瘍の進行メカニズムの一端が解明される意義がある。 In vitroの解析として、ヒト膵癌細胞株(PANC-1、HPAC、BXPC3等)を用いてIL-1ファミリーとSOX転写因子の発現調節機構に関して解析を進めている。具体的には膵管内乳頭粘液性腫瘍発生に重要なGNAS遺伝子変異下流のシグナル伝達経路に注目し、薬理学的刺激や阻害による病態分子の変化をリアルタイムPCRや蛍光免疫染色で解析している。ヒト細胞系における病態分子の発現メカニズムを解明できる意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスモデルから作成されたマウス膵癌細胞株における解析結果が、ヒト膵癌細胞株においては必ずしも再現されず、研究計画に遅れを生じている。膵管内乳頭粘液性腫瘍の病態関連分子の発現調節機構に関して、マウスとヒトで異なる可能性があり、現在検討を行っている。また、GNAS遺伝子変異に関しては、膵管内乳頭粘液性腫瘍の発生初期に関与する可能性がこれまでの研究から指摘されており、完全な癌として確立された細胞株からは、その機能が十分解析できない可能性も考えられる。そのため、我々が確立した正常ヒト膵管上皮細胞モデル(hTERT導入ヒト膵管上皮細胞)における解析を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
病態関連分子に関する免疫染色を行う症例数を増やし、腺腫と浸潤癌における病態関連分子の発現パターンの違いを明らかにする。また、病態関連分子発現パターンと臨床・病理学的因子との関連を解析する。 In vitroにおいては、正常ヒト膵管上皮細胞モデルでの解析を進め、膵管内乳頭粘液性腫瘍発生初期に相当する変化を同定できるよう試みていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
先に述べた研究の遅れに伴い、物品費用が予定より少なくなり、次年度使用額が生じた。現在問題点を改善するための研究を進めており、翌年度分の助成金と合わせて使用していく。
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