研究課題/領域番号 |
18K08715
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岡田 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50407988)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
田島 文博 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00227076)
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40398459)
廣野 誠子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60468288)
幸田 剣 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20433352)
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90549734)
北畑 裕司 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00535338)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 運動療法 / ストレス / NK細胞 / エピネフリン / IL-6 / サージ |
研究実績の概要 |
運動療法そのものがエピネフリン・IL-6に依存性のNK(Natural Killer)細胞の動員・再分配を介して癌の進行と再発を著明に抑制することが動物実験において証明されており、このメカニズムを担癌患者の運動療法においても再現できる基礎データが得られた。被検者の運動療法は術前術後から介入し,外来患者として通常酸素(21%)下でエアロバイク等を使用した85%仕事率レジメン(最大心拍予備能の85%強度レジメン)メニューを担癌患者10名に施行した。運動療法前後のエピネフリン濃度,ノルエピネフリン濃、IL-6値、NK細胞数を測定した。血液中のNK細胞数はSimultestTM CD3/CD16+CD56kit(Becton Dickinson社)を使用してtwo-colorフローサイトメトリ-で決定した。運動療法の有無と運動療法前後の経時的変化測定のために、血液検査によって、IL-6の経時的上昇、サージを確認できた。また運動療法前後のエピネフリン濃度、ノルエピネフリン濃度(pg/ml)も同期して連動することも測定し確認できた(運動療法を併用した膵癌術後補助化学療法がもたらすQOLへの効果. 第3回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会 2019.11. 静岡)。次に、膵癌術後に高頻度な再発・転移を抑制するために、運動療法を集学的治療に取り込み、外科的切除・補助化学療法・運動療法による新規膵癌集学的治療戦略を確立させることで、抗腫瘍効果のみならず術後全生存期間・無増悪生存期間の改善をもたらし得るデータを得るため、第Ⅱ相臨床試験(和歌山県立医科大学倫理委員会;No.2186)(UMIN000030124)に移行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況:当初計画した担癌患者からの検体採取と予想した基礎的データの再現性を確認することができ、予定通り臨床試験に移行することができた。しかし、一部基礎的研究において、研究予定より遅れている。すなわち患者からの癌細胞採取とcell line化し、膵癌患者の検体から得た癌細胞を20%FCSでの希釈培養を使用しコロニー形成を確認することでcell line化できたが、NK細胞の細胞毒性に関わる細胞性perforinとgranzyme B染色のフローサイトメトリーにより測定において、ライン化した患者由来の癌細胞のChromium-release assay とAnnexin Vを用いたTwo-color flow cytometryで癌細胞株へのNK細胞侵入とapotosisがin vitroにおいて確認できておらず、最終年度の前半に再実験する準備が完了し、早期に結果を確認することに強いエフォートをかける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、基礎データに基づいて臨床研究を計画し、補助化学療法の完遂率をエンドポイントとした臨床試験「運動療法を併用した膵癌術後補助治療の有用性に関する第Ⅱ相試験」(和歌山県立医科大学倫理委員会;No.2186)(UMIN000030124)を開始し、症例登録中である。現在目標登録症例44例中34例まで症例集積し、研究継続中である。年内には症例登録が完了し、担癌患者においても運動療法そのものがエピネフリン・IL-6に依存性のNK(Natural Killer)細胞の動員・再分配の現象を示すことのみならず、補助化学療法の完遂率の向上を経て膵癌に高頻度な術後再発・転移の発生率を抑制、遅延できるかどうかの臨床学的データを論文化する予定である。さらに、次試験として膵癌術後補助化学療法に運動療法を併用する群としない群で、2年再発率に有意差を認められるかを検証するために、抗癌剤血中濃度の変化とNK細胞の変化をモニタリングを不随研究とする無作為化比較第Ⅲ相試験の準備を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部基礎実験が遅れている分当該助成金が生じたが、追加基礎実験計画を立案しすでに開始しており、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用する計画としている。
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