研究課題/領域番号 |
18K08719
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
秋山 泰樹 産業医科大学, 医学部, 修練指導医 (10812191)
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研究分担者 |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学部, 講師 (20423527)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒアルロン酸 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、膵癌におけるHABP2(Hyaluronan Binding Protein 2)の生物学的役割(悪性形質への関与)を、とくに低分子ヒアルロン酸との相互作用から明らかとすることである。これまでに以下の実験を行い、新たな知見を得た。
(1)CRISPR/Cas9ゲノム編集を行い、HABP2を高発現しているSUIT-2のHABP2ノックアウトクローンを作成したところ、細胞遊走能が著明に低下し、CDH1 mRNA発現が亢進し、一方で、CDH2、Vimentin mRNA発現が抑制された。(2)HABP2の発現が低いBxPC3に遺伝子導入によってHABP2強制発現クローンを作成したところ、遊走能が亢進し、CDH1 mRNA発現が抑制、CDH2、Vimentin mRNA発現が亢進していた。
以上の結果より、HABP2は、上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition : EMT)を介して膵癌細胞の遊走能を高めており、膵癌の悪性化に関与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでにpreliminaryではあるが実験データが得られており、国内学会での報告を済ませていることより、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、膵癌におけるHABP2の悪性化メカニズムについて、低分子ヒアルロン酸との関係を調べる。 さらに、HABP2をターゲットにした新たな治療戦略を考案する。このため、膵癌細胞のHABP2のノックアウトクローン、強制発現クローンの腫瘍成長・進展(浸潤、転移)をそれぞれマウスの同所性自家移植モデルを用いて調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部、試薬の購入が遅れたため年度内に助成金を使用しなかったが、本年度の試薬購入に使用する予定である。
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