研究実績の概要 |
我々は、パクリタキセル+ラムシルマブ併用療法が施行された切除不能進行再発胃癌41例の解析で、ラムシルマブ投与後早期の血漿VEGF-Aは予後と負の相関があることを見出し報告した。今回、追加の61症例においても同様の検討を行い、血漿VEGF-A高値群の予後は低値群と比較し有意に予後不良であり(mOS 11.4m vs. 7.4m, HR 2.11 95%CI 1.09-4.07, P=0.027)、結果の再現性を確認した。更に102例の統合解析を行い、投与後早期の血漿VEGF-A高値が強力な予後不良因子であることを確認した(mOS 10.4m vs. 5.7m, HR 1.98 95%CI 1.25-3.14, P=0.004)。 本研究は主にGWASを用いたゲノム解析と、マウスモデルを用いた抗VEGF-A抗体および抗VEGFR2抗体併用療法の前臨床試験の2つのパートよりなる。前半のゲノム解析に関しては、現在、倫理委員会にて申請中である。後半の前臨床試験においては以下の結果が得られている。ヌードマウスに胃癌細胞株を接種し皮下腫瘤を形成し、これにvehicle、抗マウスVEGF-A抗体単剤、抗マウスVEGFR2抗体単剤および抗VEGF-A抗体/抗マウスVEGFR2抗体併用療法を行い腫瘍サイズを比較した。pilot studyおよびvalidation studyにおいて、それぞれ併用群は単剤群と比較し有意な腫瘍増殖抑制効果を示した。以上より、抗体製剤を用いたVEGF-A/VEGFR2経路の二重阻害療法は、単剤治療より有効な可能性が期待される。
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