研究成果の概要 |
急性大動脈解離Stanford B型は遠隔期に径が拡大し手術を要することが少なくない. また,Muse細胞は障害組織に選択的に遊走・集積し, 周囲組織に分化する性質を持つ. 本研究では解離モデルマウスに経静脈的にMuse細胞を投与した際の, 解離血管保護効果を評価することを目的とされた. 細胞投与後8週間後で生存率ではMuse細胞5万投与群が間葉系幹細胞(MSC)5万投与群よりも有意に優れており, 解離血管径拡大抑制効果もMuse細胞5万投与群はMSC75万投与群よりも有意に優れていた. In vivoや病理組織評価によりMuse細胞は特異的に解離血管に集積していることが示された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
急性大動脈解離Stanford B型は合併症がない場合は手術ではなく保存的加療を行うことが第一に選択されるが, 解離血管の脆弱性のため遠隔期に径が拡大, 破裂することが少なくない. その場合, 結局破裂予防のための手術が必要となるため, この遠隔期の解離血管径拡大を予防することができれば, 手術を回避することが可能であるため, 患者の負担減少や医療資源の節約のためにも社会的意義は大きいと考えられる. Muse細胞による治療は経静脈的に可能であり, 身体的侵襲も少なく, 急性期に介入可能であるため, 迅速な治療介入が可能であるという利点もある.
|