研究課題
拡張型心筋症に対するドラッグリポジショニングを目的として、血管新生、抗線維化、間葉系幹細胞動員集積、および体内再生因子誘導作用を評価項目として、in vitroおよびin vivoにてスクリーニングを行った。in vitroにてiPS細胞由来心筋細胞等を用いて評価した結果、複数の医薬品類を選択し、自然発症拡張型心筋症ハムスターモデル(J2N-k)を用いて、無毒性量の経口投与を行い、心機能(左室駆出力)の改善効果を評価した。本モデルは、20-28週齢において左室駆出力の低下を示す。一方、候補薬剤6種類について、20-28週齢にかけて経口反復投与を行った。候補薬剤はそれぞれ、PDE阻害剤、気管支拡張剤、蛋白分解酵素阻害剤、キナーゼ阻害剤、TGF-β抑制剤、 PG関連薬である。このうち降圧作用を示さず、作用機序の異なる4種の医薬品(気管支喘息薬A, 慢性動脈閉塞症及び脳梗塞再発抑制剤B, 特発性肺線維症として使用されているTGF-β抑制剤C, 特発性肺線維症薬として使用されているチロシンキナーゼ阻害剤D)において、有意な左室駆出力の低下抑制が示された。また、本態性高血圧症や虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全薬として臨床応用されている医薬品Eでも同程度の抑制効果が確認された。さらに、臨床にて使用されているβブロッカー(CV)に加えて、臨床投与量にて選択された作用機序の異なる2種の医薬品であるAとCの各々単独投与、及びCV+A又はCV+Cの2者併用投与、及びCV+A+Cの3者の併用投与で心機能をコントロール群と比較検討した。その結果8週間投与にて、作用機序の異なる医薬品類の併用投与(配合剤)は相乗効果が期待できることが示唆された。
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