研究課題/領域番号 |
18K08737
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
渡橋 和政 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (70204295)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低侵襲手術 / 超音波装置 |
研究実績の概要 |
肉眼的には見えない心臓内の手術器械を、リアルタイム3Dエコー装置を用いて可視化し、ビジュアルガイドで手術器械の操作を行うことを念頭に、表面形状の形(凹か凸か)により超音波が斜めに入射しても描出できる素材として、数多くの試料を集め、それぞれをリアルタイム3Dエコーを用いて描出し、集めた試料の中から明瞭な画像が得られるものを選び出した。それを見ると、表面の凹凸が表面全体に存在するものが明瞭に描出されていた。 そこで、今年度は2つの検討を行うこととした。一つは、長方形の金属板に表面加工を行うこととして、その加工が再現性のあるものであることをめざし、3D設計を行い、それをプリントしたものを試料として用いることとした。そのために、当大学の先端医療学コースの学生(3年生)とともにAUTODESK社のfusion360を用いて、試料の作製に入った。平滑なものを基本とし、それに0.5mm、1mm、2mmの半球状突出あるいは陥凹があるものを設計し、それを最終的に手術器械の表面に乗せることを念頭に置いて設計画面上で概観し、0.5mmと1mmの突出、陥凹があるものを選択し、いまプリントの発注をかけているところである。 もう一つは、前回選び出した「よく見える」素材をそのまま手術器械の表面に乗せて、それを水中で可視化し、エコーガイドのみでものを把持したり、移動したりすることができるかを検討中である。さまざまな手術操作に関して検討を続けているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述したように、手作りの試料では結果に差が出てしまう可能性があるため、再現性を高めるため、試料を3Dプリンティングで作製することとした。しかし、3D設計自体が、これまで経験がないため、設計ソフトの使い方を習得するためまずいくつもの設計を行って慣れるところから始めた。昨年の報告書でも報告したとおり、現在先端医療学コースの学生(2年生、3年生)とこの実験を進めており、歩調を合わせる必要から、進捗が遅れてしまっている。 研究の方向性や、手法などについては、これまでのところ変更を要する重大な問題点などは起こっていないため、研究はスローペースながらこのまま続行して前に進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在、3D設計した試料を発注しているところであり、それが届いた時点で試料単独の可視化の検討を開始し、明瞭な画像が見られる試料をピックアップする予定である。もし可視化が不十分であれば、さらに多様な表面形状を3D設計し、プリンティングして同様に検討をしたい。 また、以前に金属表面に擦過などで傷を付けたもので同様の検討を行ったことがあるが、初めは比較的明瞭に描出できているのに、時間の経過とともに不明瞭になってくるものがあった。今回設計した試料の中でそのような変化をきたすものがないかも合わせて検討し、もし変化するようであれば、その形状の特徴を特定したいと考えている。 それが終了した時点で、手術で用いる基本的手技である、把持、移動、縫合などを3Dエコーガイド下のみで行い、見えづらい点があれば、その原因を検討し、より繊細な構造や動きが可視化できる表面形状を追求したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで行ってきたのは、いろいろな素材を市中のショップなどで安価で得たこと、今年度は、3D設計ソフトをフリーでダウンロードして設計したことであった。そのため、支出は少額ですんだ。次年度では、設計してはプリントという作業を繰り返しながら検討していくため、次年度の使用額が増える予定である。
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