研究分担者 |
田爪 宏和 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (10648273)
岡本 健 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (20372782)
若山 友彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70305100)
野口 亮 熊本大学, 病院, 助教 (70530187) [辞退]
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研究実績の概要 |
近年、新規再生医療技術として細胞を三次元化し立体的な組織を再生する組織工学技術開発が求められている。本研究は簡便な手順、手法を用いて細胞を三次元化し立体的な心臓血管系組織を構築する技術開発を用い、動脈を構成する内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞を三次元化して内胸動脈に近い構造、機能を持った組織を構築する基盤技術を開発することを目的とした。 ヒト血管内皮細胞および血管平滑筋細胞、皮膚線維芽細胞などの血管を構成している主たる細胞を用い、細胞凝集現象を利用して血管組織型スフェロイドを形成。大量の血管組織型スフェロイドを立体構築して血管壁構造もしくは円筒型(1cm×2mm)の血管組織を作製。血管組織をDay1, Day3, Day7で固定し血管を構成する細胞外マトリックスなどの組織学的評価を行った。対象として内胸動脈、伏在静脈とを比較し、基本構造、形態、タンパク質発現の有無、分布などを画像評価による比較検討を行った。 HE染色、マッソン染色、EVG染色、コラーゲンType1, 3, 4, 5, 7. αSMA, vWfを染色解析し、内胸動脈と比較した。Day1, Day3, Day7のグラフト内には、血管構築に必須のコラーゲンのType1, 3, 4, 5の発現をDay1のグラフト内から早期に発現していた。内胸動脈と比較すると、これらの細胞外マトリックスの産生は、血管壁内に不規則に分布する傾向があった。内皮細胞は、内皮として血管構造体の内膜を裏打ちするようには分布せず、構造体の内部には未熟な血管網構築をするように分布した。αSMAの産生も構築早期から認めた。内胸動脈と比較すると動脈壁というよりも静脈に近い分布形態で血管としては未熟と考えられた。 細胞のみから簡便に立体的血管組織を構築する組織工学技術を開発し、細胞のみを三次元化して立体血管構造体の構築を行うことが可能であった。
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