研究課題/領域番号 |
18K08746
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
駒井 宏好 関西医科大学, 医学部, 教授 (00231324)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 閉塞性動脈硬化症 / 悪性新生物 / 包括的高度慢性下肢虚血 / 重症下肢虚血 |
研究実績の概要 |
外科的血行再建もしくは血管内治療を受けた閉塞性動脈硬化症重症虚血肢患者において、悪性新生物の合併が患者の生命予後や肢の予後にどのような影響を与えるのかを調査した。日本における外科手術のデータベースNational clinical database(NCD)の中の重症虚血肢患者データベースであるJCLIMBに登録された多施設の対象者2967名の解析を行なった。 外科的血行再建(ハイブリッド治療含む)は1754例、血管内治療は1206例であった。144例(4.9%)で血行再建の時点で悪性新生物を合併もしくはフォロー期間中に新たな悪性新生物を合併していた。パイパスグラフトもしくは血管内治療部位の一次開存率、MALE+大切断率、心血管死亡に関して、悪性新生物を合併した群とそうでない群の間に有意差を認めなかった。全生存率については悪性新生物を合併した群がどちらの治療症例においても生存率は低くなったが、外科的血行再建を受けた症例においては、生存率の差がより顕著であった。以上の結果より悪性新生物合併重症下肢虚血症例は、生存率は悪性新生物のため低下するものの、血行再建後の開存率、救肢率、心血管合併症発生率は非合併症とかわりなく、QOLやADL改善のためには悪性新生物既往、合併例においても積極的な血行再建が必要であることが示された。悪性新生物を合併した場合、生存率は低くなるが、外科的血行再建症例の方が生存率により顕著な差が認められたことの理由については今後の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
データ抽出は個人情報が漏れないようNCD側の責任で行われており、データ抽出までに時間がかかり、2020年度後半にデータが出揃ってきた。ようやく2021年度に必要なデータを入手したが、またCOVID-19診療による臨床業務の負担増の影響もあったため解析が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
学会発表、論文作成を行いつつ、追加の研究として各種バイオマーカーの検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた追加研究が、COVID-19診療による臨床業務の負担増の影響もありデータ収集、解析の遅れより大幅に変更せざるを得なかった。次年度には早期にバイオマーカーなどの測定を行い、当初の追加研究をまとめる計画である。
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