研究課題/領域番号 |
18K08751
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 宏文 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (60451572)
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研究分担者 |
後藤 均 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00400333)
赤松 大二朗 東北大学, 大学病院, 講師 (40420012)
濱田 庸 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (20611958)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腹部大動脈瘤 / H.cinaedi |
研究実績の概要 |
腹部大動脈瘤は、進行性に拡大し破裂に至る致死的疾患である。治療法は手術療法のみで、内科的治療は確立されていない。手術治療は侵襲が大きく、内科的に瘤の拡大や破裂の予防が可能となれば,その福音は非常に大きい。腹部大動脈瘤患者は冠動脈疾患・脳血管疾患などの動脈硬化性疾患を合併していることが多い。病理学的にも動脈硬化性の慢性炎症がその拡大進展に関連している可能性が高い。動脈瘤拡大進展の機序の一つに歯周病菌による慢性炎症を挙げる報告や、動物実験でのマクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が腹部大動脈瘤の拡大を抑制したという複数の報告があり、何らかの病原体の持続的な感染が腹部 大動脈瘤の成因に関与していることが示唆される。 当研究は,感染性腹部大動脈瘤の原因菌の一つであるH.cinaedi菌が,動脈硬化性の腹部大動脈瘤の発症や拡大に関与しているかどうか解明し,内科的治療法を確立をめざすものである. 2020年度は,これまで保存してきた腹部大動脈瘤壁よりDNAを抽出し,Nested PCR法を用いてH.cinaedi遺伝子の存在の解析を行った.その結果,感染性ではない動脈硬化性腹部大動脈瘤壁の約20%に遺伝子レベルではあるが,H.cinaedi遺伝子が存在することを明らかにした.現在,論文投稿中である. 研究予定期間は3年であったが,1年延長して2021年度は,H.cinaedi陽性動脈瘤壁検体を用いて,H.cinaedi特異的抗体を用いた免疫組織学的検討を行い,その存在意義について調査していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染性ではない動脈硬化性腹部大動脈瘤壁の約20%に遺伝子レベルではあるが,H.cinaedi遺伝子が存在することを明らかにした.しかし,予定の3年間で終了しなかったため,1年延長して研究を継続する.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,H.cinaedi陽性動脈瘤壁検体を用いて,H.cinaedi特異的抗体を用いた免疫組織学的検討を行い,その存在意義について調査していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究発表のための旅費を使用しなかったことや病理実験を行わなかったため.2021年度に使用予定である.
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