内胸動脈グラフト周囲組織が血管skeltnization 法、pedickle法により採取した内胸動脈の内皮機能を血管拡張・抗動脈硬化物質である一酸化窒素(NO)の分泌能、血管収縮物質であるエンドセリン(ET)産生量、サイクリックジーエムピー(cGMP)を測定することで、採取方法の違い、内胸動脈グラフト周囲組織が内胸動脈の内皮機能温存にあたえる影響について明らかにすることを目的としている。 2019年に本学医学倫理委員会に承認され、現在までに内胸動脈を使用する冠動脈バイパス術患者のうち、臨床研究に同意いただいた42症例の検体を採取した。血液サンプルは内胸動脈採取前の動脈血、静脈血、各々3mlおよび、周囲組織を残さないskeltnization 法あるいは周囲組織を温存するpedickle法にて内胸動脈を採取した後の内胸動脈血3ml採取し、内胸動脈切片は5㎜切片を2つ、採取した。 NOの測定には、Colorimetric assay、cGMPではenzyme linked immunoassay、ET測定では、Solid Phase Sandwich ELISA法を使用して測定した。 ITA血液中のNO、cGMPと静脈血、動脈血中のNOとの比、ITA壁のcGMP量はpedickle 法で高い傾向にあった。、Pedicle法で採取したITAは、skeletonization法と比較してNO、cGMP分泌が亢進し、ET分泌が抑制され、内皮機能の温存に優れている可能性が示唆された。グラフトの内皮機能温存という課題を解決し、より良い採取法が明となり、ITAの長期開存率、CABGの長期成績をさらに向上することができる。 現在はこの結果を報告すべく、学術論文を作成中である。
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