研究課題/領域番号 |
18K08758
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三好 亨 岡山大学, 大学病院, 講師 (70444651)
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研究分担者 |
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10335630)
米澤 朋子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30304299)
吉田 賢司 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (70532761)
伊藤 浩 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90446047)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胸部大動脈解離 / α1インテグリン / 細胞外マトリックス / 血管平滑筋細胞 / 線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
胸部大動脈解離は大動脈中膜が突然破断する疾患であるが、その病態はほとんど解明されていない。そのため、その解離の予測は困難であり、いったん発症すると高い致命率となる。血管の中膜には血管平滑筋細胞、線維芽細胞があるが、その強度の維持にはエラスチンをはじめとする細胞外マトリックスが重要な役割を果たす。細胞はインテグリンを細胞外マトリックスと繋がり、活性化や抑制の制御を受けることが知られている。インテグリンの一つであるα1インテグリンは、β1とダイマーを形成し、細胞表面で主としてコラーゲンと結合する。これまでの研究では、血管平滑筋の増殖、線維芽細胞、マクロファージの活性化を介して、様々な慢性炎症性疾患モデルにおける線維化や病態制御に関わることが報告されている。一方、申請者らは、これまでの研究で細胞外マトリックス分解や炎症促進にα1インテグリンが関与することを報告してきた。大動脈壁や炎症細胞にインテグリンは多く存在し、腹部大動脈瘤モデルにおいては、α1インテグリンが瘤形成に関与することを見出し、大動脈解離においてもα1インテグリンが重要な役割を担うのではないかとの着想に至った。さらに、予備実験では、α1インテグリン欠損マウスで胸部大動脈解離モデルの発症抑制が認められた。そこで、本研究では、まずヒト胸部大動脈解離組織およびマウス胸部大動脈解離モデルの両方からα1インテグリンの大動脈解離進展における分子動態を明らかする。さらに、α1インテグリンを標的とした抗体治療の基礎実験を行い、α1インテグリンが大動脈解離における新規治療標的となりうるかを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α1インテグリン欠損マウスを用いて、lysyl oxidase 阻害薬とアンジオテンシンIIの皮下投与による腹部大動脈解離モデルの作成も順調に進んでいる。α1インテグリン欠損マウスにおける大動脈解離の発生率は有意に対照マウスに比べて低率であった。C57/BL6マウスを対照群として、腹部大動脈解離の遺伝子発現について、さらに詳細に検討を行っている。また、細胞外マトリックス分解酵素の発現もα1インテグリン欠損マウスで有意に低値であった。インテグリンα1から下流のシグナルについては現在、網羅的にウエスタンブロットを行っており、ターゲットとなる分子を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイのデータの確認を行い、インテグリンとサイトカインの関連を細胞培養の実験も同時に行いながら、下流のシグナル伝達経路を明らかにしていく。細胞培養では、血管平滑筋のみならず、内皮細胞、マクロファージなど異なる細胞種を用いて、それぞれにおけるインテグリンの炎症における意義を明らかにしていく。 また、同時にインテグリンα1抗体による大動脈瘤進展予防実験の遂行に向けて、現在抗体を準備している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度計上していた情報収集のための国内旅費の使用がなく、またマイクロアレイ解析に予定した額がかからなかったため次年度繰り越し使用額が生じたが、次年度実施する細胞培養の実験、および大動脈瘤進展予防実験に係る消耗品等に充当する予定である。
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