研究課題/領域番号 |
18K08764
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
柚木 純二 佐賀大学, 医学部, 講師 (00728363)
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研究分担者 |
古舘 晃 佐賀大学, 医学部, 助教 (30448477) [辞退]
西田 誉浩 佐賀大学, 医学部, 教授 (50284500) [辞退]
伊藤 学 佐賀大学, 医学部, 助教 (50555084)
藤井 進 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (60535748) [辞退]
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (70243938)
野上 英次郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (70766534)
高松 正憲 佐賀大学, 医学部, 助教 (90594656)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DPCデータ / 低侵襲手術 / 費用対効果 |
研究実績の概要 |
心臓外科領域の治療においても、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を中心とする低侵襲治療が発展し、今年発表された2020年改訂版弁膜症治療ガイドラインでも、大まかな目安として、80才以上はTAVI、75才未満はSAVR(開胸による大動脈弁置換術)と記載され、TAVIの適応は今後も拡大されることが予想される。 一方、増え続ける医療費を考慮すると、その費用対効果も検討しなければならない。 そこで、我々はDPCデータに注目し、この治療に関して費用対効果の観点より比較・検討するシステムを構築してきた。我々は、当院のDPCデータを用いSAVRとTAVIにおける費用対効果検証プロトコールを作成した。問題点もあったが、SAVRは95%、TAVIは100%で抽出可能であった。その結果、在院死亡率、集中治療室(ICU)滞在期間、病院滞在期間、30日以内の再入院などの治療成績を比較でき、また、DPC合計、手術費用(薬剤費や材料費)、入院中の検査費、薬剤費など費用まで比較可能であった。結果、TAVI群のほうが、低侵襲であるがゆえに在院日数は短く、薬剤、検査費用は低額であるが、材料費が高額であるため総医療費は高額であり、医療経済の観点からは不利であるという結論を得た。 この抽出方法をもとに、全国のDPCデータからデータを抽出することで、タイムラグのないビッグデータにより手術成績、費用対効果を比較することができるものと考えている。現在厚生労働省のホームページにて「DPCデータの提供に関するホームページ」があり、その審査を受けビッグデータを入手する予定であるが、手続きが煩雑であることやそれは個々のデータ提供があるわけではなく、あくまでも集計表としてその情報を得られるのみであるため、その2群の比較は不可能であることも分かった。現在はデータ入手の手続きを行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の共同研究者であった当科主任教授の突然の退職、診療科長の交代があり、医局運営等を仕事が急増した。また、コロナウイルスの影響で、令和2年に入り参加しようとしていた学会等ことごとく中止となり、全国的な状況がが把握しづらい現状である。 また、厚生労働省の「DPCデータの提供に関するホームページ」の審査に応募したが、今年度の応募は1回しかなく(昨年は3回ほどあった)、その書類の多さから応募資格を得ることができなかった。その中で、DPCの個々のデータは入手不可能で、集計表データのみしか得られないことも判明し、2群間比較が困難な現状も分かった。 現在公にDPCデータが入手できるのは、この応募のみであるため、来年度の応募に向け、(来年度は4回審査がある)、現在書類作成を行っている。 低侵襲手術に関する発表は、全国レベルの学会、研究会にて数回行った。しかし、全体の進捗状況としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は審査回数が少なく、応募不可能であったが、まずは全国のDPCデータを入手することが第一である。 厚生労働省へ「DPCデータ提供に関する申し出」を行うため書類を作成し審査に応募し、その集計表を得る。その結果から分かり得ることを集計し、その後個々のデータがどのように入手できるかを模索したい。 全国のDPCデータから抽出された個々のデータを入手できれば、統計解析作業に移ることができる。国有の有用なデータであるため、統計解析の専門家とその解析データを検証し、今年度の日本循環器学会総会にて発表し、英文での論文化を行う予定である。 その他の低侵襲手術に関する研究成果の発表も引き続き行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の共同研究者であった当科の主任教授が退職され、研究へ割く時間が激減していたが、今年度よりな新たな診療科長が就任され、本研究に時間を割けるようになっている。しかし、データの提供に関するホームページ」からのDPCデータ提供の審査が例年は3-4回あるのだが、本年は1回しかなく、データを入手することができなかった。また、2020年に入り、コロナウイルスの影響から、学会等がことごとく中止となり、情報を得る機会が激減した。現在、データ解析のためのパソコン、ハードディスクの入手を行い、作業を進めているが、予定していた国内学会への参加や国際学会への参加が行えず、次年度使用額が生じている。 現在学会関係に関しては不透明な部分はあるが、今年度はDPCデータの集計表を入手できる予定であり、そのデータを保存する専用のコンピューターやハードディスク、その周辺機器への費用や、論文作成、英文校正、オープンアクセスなどの費用に使用する予定である。また、当院のDPCデータを用いて新たな研究にも取り組む予定であり、その人件費に助成金を当てる予定である。
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