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2019 年度 実施状況報告書

術後虚血性脊髄障害に対する間葉系幹細胞を用いた治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K08766
研究機関札幌医科大学

研究代表者

安田 尚美  札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40722385)

研究分担者 佐々木 祐典  札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136)
川原田 修義  札幌医科大学, 医学部, 教授 (30325865)
本望 修  札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード骨髄間葉系幹細胞 / 虚血性脊髄障害 / 神経再生 / 大動脈瘤
研究実績の概要

虚血性脊髄障害は胸部下行及び胸腹部大動脈疾患の手術における合併症の一つであり、下肢の運動麻痺などの重篤な障害が残存する。周術期において、超低体温循環停止法や脊髄ドレナージなどの予防法が行われているが、尚もその発症頻度は10~20%程度と言われている。これまでの基礎研究においても脊髄虚血の予防、脊髄保護の観点から様々な試みは行われているが、根本的治療はなく、新しい治療の確立が望まれている。
一方、我々はこれまでの基礎研究において、外傷性脊髄損傷に対する骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells: MSCs)の静脈内投与(MSC治療)による治療効果を報告してきた。これまでの動物実験から、MSC治療による運動機能の回復には神経栄養因子による神経保護作用・抗炎症作用や、血液脊髄関門の安定化、再有髄化、損傷軸索のsprouting等多くのメカニズムが関与することを明らかにしてきた。
本研究では、虚血性脊髄障害に対するMSCの治療効果およびその治療メカニズムを明らかにし、根本的な治療法の開発へ展開することを目的とした。
昨年度(2018年度)は、SDラット(オス, 250-300g)を用いて、外科的に脊髄虚血再灌流モデルを確立した。虚血性脊髄障害発症の急性期を想定し、ランダムに2群に割付をした同モデルラットに対して同系ラットの大腿骨骨髄より採取・培養したMSC(vehicle群には細胞なしの培養液のみ)をモデル作製後1日目に投与して運動機能改善の検討を行い、良好な結果を得た。本年度(2019年度)は、引き続きMSC投与群とvehicle群の運動機能の比較検討に加え、モデルラットの損傷脊髄の画像的、組織的解析を行い、MSC投与による虚血性脊髄障害の治療メカニズムの解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度(2018年度)は、外科的に作製する脊髄虚血再灌流モデルを確立した。同モデルに対するMSC治療により、良好な治療効果が得られることが判明した。本年度(2019年度)は、上記の結果を踏まえ、昨年度に引き続き行っているMSC投与群とvehicle群における運動機能の評価に加え、動物用MRIを用いたin vivoの脊髄の経時的画像解析、観察期間終了後に採取した損傷脊髄の組織学的評価(HE染色、Nissl染色、免疫染色等)を行いMSCの経静脈的投与による治療メカニズムの解析を行うことができた。さらに、これまでに得た研究結果の学会発表(アメリカ胸部外科学会:The Society of Thoracic Surgeons, New Orleans, USA, 2020.1.26-1.28)を行うことができたため、概ね順調に進捗していると判断している。

今後の研究の推進方策

2019年度までに解析したデータをもとに英語論文化し、学会等において発表を行う予定である。また、治療メカニズムに関してさらに詳細な解析を試みる。加えて、慢性期の虚血性脊髄障害を想定したモデルに対するMSC治療の治療効果および治療メカニズムの解析も検討するため、慢性期虚血性脊髄障害モデルの確立をはかり、虚血性脊髄障害に対するMSCを用いた治療法の確立に向けて、基礎的な解析を継続して推進する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究結果を発表予定であった学会(日本心臓血管外科学会 当初開催予定2020.3.2-3.4 福島県)がコロナウィルス感染予防のため延期となった。よって支出予定であった学会参加に伴う交通費、宿泊費および学会参加料の支出がなくなったため繰り越しが発生した。
繰り越し金は上記学会が2020年8月に開催延期となったためその際の旅費として使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Intravenous Infusion of Mesenchymal Stem Cells Promotes Functional Recovery in a Rat Model of Ischemic Spinal Cord Injury2020

    • 著者名/発表者名
      安田尚美
    • 学会等名
      The Society of Thoracic Surgeons
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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