本年度は,昨年度に施行できなかったヒト臍帯動脈平滑筋細胞,および,ラット平滑筋細胞を用いた細胞シートを作成し移植実験を行う方針であった.ヒト臍帯動脈平滑筋細胞から作成した細胞シートをヌードラット(n=17)の腹部大動脈に移植し,3週間,3ヶ月,5ヶ月に組織学的評価を行った.移植術を行った17例中,1例は移植後2日目に縫合不全による出血で死亡したが,16例(3週間: n=6,3ヶ月: n=6,5ヶ月: n=4)は全例生存し,超音波検査にて移植部の大動脈は開存し狭窄所見を認めなかった.移植部の内腔側は内皮で覆われ,弾性線維の新生を認めていた.
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