研究課題/領域番号 |
18K08773
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平岡 圭 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (10719587)
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研究分担者 |
高橋 雅道 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (10436454)
平野 聡 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50322813)
土川 貴裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (50507572)
七戸 俊明 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70374353)
中村 透 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70645796)
加賀 基知三 北海道大学, 大学病院, 講師 (80224335)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | レトロウイルス / プロドラッグ / 肺癌 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター |
研究実績の概要 |
本研究は、標的腫瘍細胞内で酵母由来シトシンデアミナーゼ酵素(yCD)を発現させることで抗真菌薬であるフルシトシン(5FC)を抗癌剤であるフルオロウラシル(5FU)に変換して抗腫瘍効果を得ることを目的としたプロドラッグシステムと増殖型レトロウイルスベクター(RRV)による遺伝子発現システムを組み合わせた肺癌における新規治療法の確立を目指している。今年度は、RRVを用いた実験環境の整備と培養肺癌細胞株を用いた感染実験を行った。まず、最初の実験として、米国共同研究施設より供与されたウイルス産生プラスミドをウイルス産生細胞にトランスフェクションし、培養上清中に産生されたRRVを抽出、保存した。次に、ヒト肺癌細胞株、およびマウス肺癌細胞株を用いた細胞実験系において、すでに作成済みであった緑色蛍光タンパク(GFP)遺伝子をマーカーとして組み込まれたRRVを用いて、感染効率、増殖能、遺伝子導入効率をin vitroで検討した。蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー、ゲノム定量PCRを用いることで、その高い感染効率と速やかな増殖能を組織型の異なる複数の肺癌細胞株において確認することができた。また、本研究の治療ベクターであるプロドラッグ変換酵素yCD遺伝子を有するRRVを、培養ヒト肺癌細胞株およびマウス肺癌細胞株に感染させ、プロドラッグである5FCを投与して培養を行った。MTSアッセイにより、プロドラッグ5FCによるRRV感染細胞に対する強力な殺細胞効果を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的であったヒト肺癌培養細胞株におけるRRVの感染効率、増殖能、遺伝子導入効率の検討を行い、蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー、定量PCRを用いてin vitroで確認することができた。また、治療遺伝子を有するRRVをヒト肺癌細胞株に感染させ、プロドラッグ投与による殺細胞効果をMTSアッセイによって判定することができた。しかし、肺癌初代培養細胞におけるウイルスベクターの感染能の検討はまだ進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、肺癌細胞株のマウス皮下移植モデルを作製し、皮下腫瘍内におけるRRVの増殖能をフローサイトメトリーやゲノム定量PCRを用いて検討する。さらに、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を導入した肺癌細胞をマウス胸腔内に移植することで肺癌胸膜播種モデルを作製し、5FC投与によるRRV感染腫瘍の縮小効果をIVIS生体イメージングシステムで計測する。安全性試験としては、治療マウスより採取した臓器を用いてゲノム定量PCRを行いRRVのバイオディストリビューションを確認する。全身性抗腫瘍免疫の誘導については、再移植試験、CTLアッセイ、IFN-γ ELISPOT、depletionアッセイなどでで評価する。以上の前臨床試験において本治療システムの治療効果と安全性を確認できれば、国内臨床試験に向けて環境を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に、実際の手術検体を用いた肺癌初代培養細胞におけるウイルスベクターの感染能を検討する予定であったが、適切な手術検体を十分に確保にするためには当初予定していたよりも時間を要するため、計画を変更してさらに多くの肺癌細胞株を用いて検討を行った。このため当初の見積から差額が発生した。以上の理由により、肺癌初代培養細胞におけるウイルスベクターの感染能の検討は次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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