研究課題/領域番号 |
18K08774
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新垣 雅人 北海道大学, 大学病院, 医員 (30788245)
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研究分担者 |
加藤 達哉 北海道大学, 大学病院, 教授 (20624232)
海老原 裕磨 北海道大学, 大学病院, 特任教授 (50632981)
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研究期間 (年度) |
2022-01-04 – 2024-03-31
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キーワード | Photosesityzer / 内視鏡 / PDT / 光線力学的治療 / レーザー / アブスコパル効果 |
研究実績の概要 |
2019年4月よりカナダに留学し2023年1月に帰国した。このカナダへの留学期間中本課題は中断となっており、2023年1月に帰国してから再開としている。2018年から2021年度までに胸腔鏡や気管支鏡下の胸部悪性腫瘍の同定も含めた、レーザーと光増感剤を使用した胸部悪性腫瘍に対する光線力学的治療(PDT)に関する研究の主要部分はすでに終了しており、徐々に論文化されている(①Aragaki M, Lou J, et al.Repeated photodynamic therapy mediates the abscopal effect through multiple innate and adaptive immune responses with and without immune checkpoint therapy. Biomaterials. 2023、②Gregor A,Aragaki M, et al.Preclinical feasibility of bronchoscopic fluorescence-guided lung sentinel lymph node mapping. JTCVS. 2023、③Ishiwata T,Aragaki M, et al, Transbronchial real-time lung tumor localization with folate receptor-targeted near-infrared molecular imaging: A proof of concept study in animal models. JTCVS. 2023)。このため来年度は研究成果公表活動を行う予定である。 さて、2022年度の本研究課題に対する研究実績期間は実質1月から3月までの3か月であるが、帰国後の研究基盤の再構築にこのすべての期間を費やした。具体的には私の所属施設での研究再開に必要なe-learning、講習などへの参加、共同研究者との今後の研究に関するミーティングなどを行った。また来年度に向けデータ作成・整理をおこなった。本年度の研究費は上記に必要な備品などの購入が主な支出となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は肺腫瘍性病変に対する胸腔鏡手術のための新たなマーキング法の開発を目的であった。新しいマーキング法として5ALAやポルフィリンをベースとして作成したporphyrin lipoprotein (PLP)やPorphysome、またOTL38を使用し行った。5ALAはその励起光の短さにより肺内腫瘍に対するマーキング法としての応用は現在のところ難しいことが明らかとなったが、そのほかいくつかの光増感剤で腫瘍のマーキングに応用可能な可能性が示唆された。それらの有効性についてはマウスモデルと豚偽腫瘍モデルで行った。これらの結果に関して臨床応用への可能性も含めて論文化した。またそれに付随して、ICGを使用した肺癌に対するセンチネルリンパ節マッピングについても豚を使用した基礎データを発表・論文化した。光増感剤の肺癌手術・治療への応用は、腫瘍の同定のみならず、PDTもある。肺癌治療に最適な光増感剤とPDT効果の検索は、本研究の副次的な研究テーマとなりうると考え、PDTに関しても検討を行い、特にPLPを用いたPDTが胸部悪性腫瘍に対し高い抗腫瘍効果を示すこと、そして、PDT後ろにアブスコパル効果と呼ばれる遠隔腫瘍に対する抗腫瘍効果を誘導することを見出し論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
本課題をとおして、様々な光増感剤やその応用を行い幅広い知見が得られた。本課題を遂行する中で、副産物的に発見された、PDTにより誘発されるアブスコパル効果はとてもインパクトのある結果であり、インパクトファクターの高い論文にアクセプトされた(Aragaki M, Lou J, et al.Biomaterials. 2023, IF 15、Aragaki M, Lou J,et al. Nanophotonics. 2021, IF 7.9)。本研究の中でPDTによる誘発されるアブスコパル効果を解析することに適したマウスモデルの作成に成功しており、同モデルを使用し、アブスコパル効果を誘導しいる光増感剤とPDT治療の組み合わせをスクリーニングし、さらにアブスコパル効果を増強する併用療法(特に免疫療法)の検索を行い時期研究課題へつなげるための足掛かりとする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
留学から2023年1月に帰国したため、研究期間が実質3か月のため。次年度は研究結果の公表活動と、肺腫瘍マーキングやPDT治療に効果的な光増感剤のスクリーニングをマウスモデルで行う。研究結果の公表活動に関しては、まず、データ整理目的に研究室のデジタル環境の改善。データベースの構築、データーサーバーの構築を行う。複数の学会発表も行う予定である。マウスモデルを用いた光増感剤のスクリーニングに関しては、まず、コロナや留学の影響で失った動物実験の基盤の再構築を行う。その後ヌードマウスとC57BL/6を使用したXenograft modelを使用し、スクリーニングを行う。研究費はマウス購入費、飼育費、光増感剤合成費に用いる予定である。
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