研究課題/領域番号 |
18K08786
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
呉 哲彦 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50313656)
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研究分担者 |
張 性洙 香川大学, 医学部, 助教 (00419508)
藤原 敦史 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00748642)
横田 直哉 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10636492)
松浦 奈都美 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20572853) [辞退]
横見瀬 裕保 香川大学, 医学部, 教授 (80231728)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 気管移植 / 異種移植 / 細胞外マトリックス / 気管ステント |
研究実績の概要 |
呼吸器系手術において生じる気管、気管支レベルでの気道欠損において欠損部または過切除範囲を補填しこれを可能にする医療材料、技術未だ十分とは言えない。ブタ気管細胞外マトリックス(ECM) (Conconi MT,et al. Transpl Int 2005) が抗原性を有さずかつ臨床応用の可能性があることに注目し、平成24年度の科研研究を通して、ブタ由来ECMパッチが気道修復材料として使用可能だと示した。実臨床においては管状構造(tubular)としての材料が必要とされる場面は多いため、本研究では管状ECMが臨床で応用可能か、かつ前回の研究課題であったECM上の上皮化の促進が図れるのかについてである。 Detergent enzyme method(Conconi MT, et al. Transpl Int 2005;18:727-734) によりtubularECM(2.5cm(気管軟骨4リング))を作製した。そして全身麻酔下にイヌ気管を長さ4cm(気管軟骨6リング)に管状切除し、切除部位へ2.5cmのtubularECMを移植した。2匹はコントロールとしてこのまま閉創し、一方剛性を保つために6匹には剛性補強、および内腔狭小化を防ぐために気管ステント(シリコンチューブ)を内腔へ留置した。尾側、頭側を端々吻合し手術を終了した。 昨年度から計8匹に行ったコントロール群は術後1週間程度で移植ECMの閉塞により突然死した。一方シリコンチューブを留置した群は、シリコンチューブが残存している限りは、特に経過は問題ない。ただしシリコンチューブが喀出された1匹はコントロール群と同様に突然死しており、ECMの剛性が課題となっている。 それを解決するためにbFGF徐放シートを移植部位へ固定を行うことや、胸部気管で同様の手術を行い、大網を移植部位へ縫着する等を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は8頭に対して実験を行い、実験数としては予定通りに行えているが、ステント留置群にも上記の通り死亡例を認め、tubularECMの剛性の課題は未だクリアできていない。そのためにやや遅れていると記載したが、剛性を改善するためにbFGF徐放シートや大網を縫着する対応を考慮しており、今後の進展には期待できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
tubularECMの剛性の課題クリアのために通常通りのECMの移植を行ったのちにbFGF徐放シートを縫着する症例を2例行う予定である。また剛性が保てない理由にECMに血流が十分にないことが理由の一つとして考えられるために血流の非常に豊富な臓器である大網を利用することを考えている。すなわち胸部気管で同様に移植を行ったのちに腹腔より大網を有茎性に胸部へもってきて、これを縫着することである。こちらも2例を行い、どちらが剛性が保たれるか評価を行う方針である。これらを移植後1カ月、3カ月で犠牲死させ、組織学的にマトリックス上の反応、変化(粘膜再生、血管新生など)を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
為替の影響のためか薬品(特にDNA分解酵素)が想定より安価に購入できたために次年度使用額が生じた。 次年度は実験を行うのに必要なビーグル犬の購入及び、薬品、物品の購入を行う。
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