研究課題/領域番号 |
18K08801
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
牧野 洋二郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (70421047)
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研究分担者 |
真村 瑞子 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (60400686)
尹 晶煥 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (30748885)
裴 恩真 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (40773388)
大平 達夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (40317847)
池田 徳彦 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70246205)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非小細胞肺癌 / TGF-β / SMADリン酸化 / EGFR-TKI抵抗性 |
研究実績の概要 |
初年度(平成30年度)、Transforming growth factor-β(TGF-β)受容体SMADであるSMAD2とSMAD3の内、SMAD2のリンカー部位が、炎症性サイトカインによってリン酸化を受け、非小細胞肺癌(NSCLC)のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)に対する抵抗性を誘導することを、第1世代EGFR-TKIのゲフィチニブ感受性EGFR変異肺腺癌細胞株HCC827(Del E746_A750)と第1世代EGFRTKI抵抗性EGFR変異の内、最も頻度の高いL858R/T790Mを発現する第3世代EGFR-TKI感受性肺腺癌細胞株NCI-H1975を用いて明らかにした。 初年度の研究結果を受けて、今年度は、#1. 炎症性サイトカインがSMAD2リンカー部位をリン酸化しEGFR-TKI抵抗性を誘導するキナーゼを同定した。#2. SMAD2リンカー部位遺伝子変異体を導入した細胞株と対照群を用いてRNAシーケンスを行い、リンカー部位リン酸化SMAD2がEGFR-TKI抵抗性を誘導する標的遺伝子を同定し、EGFR-TKI抵抗性誘導機序を解明した。#3. 本学医学研究倫理委員会にて承認されたプロトコールに則り肺癌患者より採取した手術検体または生検検体を用いて、各種EGFR-TKIに感受性があるEGFR変異を有するにも関わらず抵抗性を示した症例と感受性を示した症例の組織を免疫染色し、SMAD2リンカーリン酸化とその標的遺伝子産物の発現のレベルが治療抵抗性と有意に相関することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した計画をほぼ達成している為。
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今後の研究の推進方策 |
リンカーリン酸化SMAD2変異体標的遺伝子を強発現またはノックダウンした細胞株を用いたRNAシーケンスと患者検体数を増やして病理組織学的解析を進行中で、上記結果の一部を論文投稿準備中である。 NOD/SCIDマウスにSMAD2リンカー部位変異株を導入したNCI-H1975を移植する異種移植モデルを用いてin vitro解析の結果を検証し、EGFR-TKI抵抗性獲得を防ぐ治療方法について研究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
SARS-CoV-2パンデミックの為使用できなかった額を次年度、RNAシーケンスと分子病理学的解析並びに病理組織学的解析に要する試薬購入に使用する予定である。研究計画調書に当初記載した通り、異種移植モデルは高価である為、研究分担者との共同研究で遂行する。
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