研究課題
2020年には全国の肺癌罹患数は約13万人となり、肺癌による死亡者数は約8万人に達した。肺癌は診断されるとそのうち半数以上が死に至る生命予後が極めて悪い難治性癌であり、肺癌を予防することが重要な医学的課題となっている。このため、本研究では、肺腺癌における気管支上皮中に発現する発癌性化学物質の代謝に係る解毒酵素を網羅的に解析する。さらに、肺腺癌における癌幹細胞マーカー発現から肺癌発生のメカニズムを検討する。2020年度には、下記の研究結果を得た。1) 肺腺癌の切除肺48例を対象として気管支上皮内CYP1A1・CYP2A6・CYP2E1・CYP3A4酵素発現を免疫組織化学染色で同定した。気管支上皮の10%以上の気管支上皮細胞が陽性の場合を陽性例と判定した。全48例の気管支上皮内CYP1A1・CYP2A6・CYP2E1・CYP3A4陽性例(陽性頻度)はそれぞれ21例(43.8%)、22例(45.8%)、19例(39.6%)、19例(39.6%)であった。2) 切除肺腺癌183例の切除肺からパラフィン包埋切片を作製し、HE(hematoxylin and eosin stain)染色により組織学的診断を施行し、癌幹細胞マーカー(aldehyde dehydrogenase-1:ALDH1)と癌抑制遺伝子(p53)の免疫組織化学染色を検討した。ALDH1発現は、腫瘍内の染色強度と染色面積より算出するH-score (0-300) (Shenton et al, 1998)を用いて評価し(AS: ALDH1-score)、ASが100以上の発現例を陽性と判定した。p53発現は、腫瘍細胞10%以上の発現例を陽性と判定した。全183例のAS・p53発現陽性例(陽性頻度)はそれぞれ31例(16.9%)と79例(43.2%)であった。
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Personalized Medicine Universe
巻: 9 ページ: 64-65
Clinical Case Report Journal
巻: 1 ページ: 1-6