手術後に認知機能が低下する合併症があり、術前の筋肉量低下(サルコペニア)が関連するか検討した。ラットの尾懸垂により、サルコペニアモデルを作成することを確立した。このモデルを使用して、術前の尾懸垂による筋肉量の低下は、術後の認知機能の低下を促進させた。その原因として海馬の神経栄養因子BDNFの低下と歯状回の神経新生が低下することが一因として考えられた。術前の筋肉量低下を、運動により回復させると、術後の認知機能低下が減弱した。運動によりBDNFと神経新生は増加した。 この研究により、術前のサルコペニアは、術後認知機能を悪化させ、術前の運動は、その悪化を軽減させる可能性がある。
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