研究課題/領域番号 |
18K08812
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
福岡 尚和 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (00402181)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プロポフォール / デスフルラン / 脳血管内皮機能 / アセチルコリン |
研究実績の概要 |
急性高血糖は血管内皮機能を障害し、血管内皮依存性の血管拡張物質であるアセチルコリンに対する反応性が低下するとされている。本年度は急性高血糖時の脳血管内皮機能についてデスフルラン麻酔とプロポフォール麻酔群で我々が有する、Cranial Window法と呼ばれる、in vivoで脳表血管をリアルタイムに観察できる手法を用いて比較した。そして、プロトコールについて再考し、デスフルラン、プロポフォール、イントラリピッド(プロポフォールの溶媒)の3群間で比較した。
結果:非高血糖時はデスフルラン、プロポフォール、イントラリピッド全てにおいて、アセチルコリンによる脳血管内皮反応性は保持された。一方、高血糖時、デスフルランはアセチルコリンに対するラット脳血管内皮機能を障害したが、プロポフォールとイントラリピッドは共にアセチルコリンに対する反応性を保持した。イントラリピッドに抗酸化作用があるとされる報告がるのでその影響が疑われる。また、デスフルランをはじめとした吸入麻酔薬は脳血管拡張作用があるので、今回の結果に影響を及ぼした可能性がある。本年度の結果からは、急性高血糖併存患者の全身麻酔ではデスフルラン麻酔よりもプロポフォール麻酔が有用である可能性が示されたというだけである。
この結果については第23回日本神経麻酔集中治療学会にて「プロポフォールは急性高血糖時における脳血管のアセチルコリンに対する反応性を保持する」で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験モデルの”Cranial window”の作成の成功率がやや低く、実験の失敗が予定より多かったこと。プロトコールニ再考・変更により、イントラリピッド群を追加したこと。
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今後の研究の推進方策 |
デスフルランを非高血糖の状態で1時間投与した後にアセチルコリンの脳血管への反応性を調べる。 デスフルランとセボフルランは同じ吸入麻酔薬で動物実験では脳血管拡張作用はほぼ同等とされる。デスフルランは最も新しい吸入麻酔薬で、臨床使用上、すべての吸入麻酔薬の中で麻酔からの覚醒が最も早いとされる。よって、デスフルランとプロポフォール麻酔を比較することが最近の全身麻酔のトレンドを鑑みるとより優先すべきと考え、セボフルランをプロトコールから一旦除外することにする。
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