研究課題/領域番号 |
18K08812
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
福岡 尚和 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (00402181)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | cerebrovascular / desflurane / sevoflurane / hypercapnia |
研究実績の概要 |
脳血流はPaCO2(動脈血中二酸化炭素分圧)により直接変化する。この影響はPaCO2の生学的変動内で最も大きい。全身麻酔中は人工呼吸器の設定を変える(分時換気量を多くする)ことによりPaCO2を変化させることが可能で、脳梗塞の既往をもつ患者では脳血流維持目的にPaCO2を高く保つことが臨床で一般的に行われている。脳血流のPaCO2レスポンスは麻酔薬ごとに差異を認めることが他の脳血流測定法で報告されているが、基礎的実験データは十分とは言えない。そこで当該年度は(研究実施計画、申請時と若干変更あり)、①ラットにおけるCranial Windowを作成し、同条件下で、日常臨床で使用頻度の多い吸入麻酔薬のデスフルランとセボフルラン2剤を投与量0.5MACと1MAC(吸入麻酔薬の投与濃度を表す尺度)に設定し、投与量による脳動脈と脳静脈血管径の変化を測定し、更に薬剤による差異がないか検討する。②脳血流のPaCO2(動脈血中二酸化炭素分圧)レスポンスをデスフルラン、セボフルランとで比較検討する。研究成果①ⅰ)デスフルラン、セボフルランともに0.5MAC、Normocapniaの条件下では脳動脈と脳静脈血管径は変化しない。ⅱ)デスフルラン、セボフルランともに1MAC,Normocapniaの条件下では脳動脈と脳静脈血管は拡張する。②ⅰ)無麻酔,Hypercapnia(二酸化炭素を負荷して動脈血中二酸化炭素分圧を上昇させる)では脳動脈と脳静脈血管は拡張する。ⅱ)デスフルラン、セボフルランの投与量ともに1MACの状態からHypercapniaとすると、ⅰ)と比べて更に脳動脈血管は拡張する。ⅲ)同条件下での脳動脈と脳静脈血管径の変化はデスフルラン、セボフルランとの間で違いはなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
静脈麻酔薬のプロポフォールと吸入麻酔薬(デスフルラン、セボフルラン)を比較予定であったが今年度中にはできなかったので、”やや遅れいてる”と評価した。プロポフォールED50 と0.5×ED50 の投与量のコントロールが非常に難しいのが問題点。この比較は断念する可能性あり。
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今後の研究の推進方策 |
急性高血糖における脳血管内皮機能と麻酔薬の関係、並びに比較的新しい吸入麻酔薬であるデスフルランと動脈血中二酸化炭素分圧との関係がこの2年間で明らかにできた。今後は脳血管内皮機能障害をきたす、喫煙との関係も調べていくのも面白いと考えている。
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