研究課題/領域番号 |
18K08813
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長瀬 清 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (90345786)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ビッグデータ / 周術期 / 医療安全 |
研究実績の概要 |
20年度も継続して術中管理の安全性を高めるための周術期バイタルサイン変化のアルゴリズムの改良を継続している。周術期バイタルサインのアルゴリズムにおいて全く新しい研究手法を導入したため、共同研究として研究立案し、倫理審査委員会の承認後に、継続的に研究会を開催しながら進捗をはかっている。この研究ではとりわけ医療安全の確保に注視しながら、手術医療の質向上への具体的な評価、業務の効率化や標準化といった実践的な活用を考慮した有用性において、データ解析を目指している。同時に、新しい制度である特定行為看護師制度の開始に合わせ、臨床業務に応用できる新しい支援機能を視野に入れた成果の応用に着手している。つまりこれらの目的は、1つずつの麻酔管理症例に役立つだけでなく、手術室全体における医療安全や効率化と標準化に役立つように設計し、周術期ビッグデータを活用した手術患者アウトカムに及ぼす条件や環境を配慮し、さらに周術期バイタルサイン変化を捉えるアルゴリズムから派生する臨床業務支援システム開発と同時に、実用化を目指している。 一方でコロナ禍の現在であるので、臨床データを収集してもコロナ禍の影響が反映され、平時の状況とはかなり異なる条件であるのも事実である。またポストコロナを迎えるにあたり、コロナ前の研究計画をそのまま継続すべきであるのか、ポストコロナを見据えた研究目標の修正が必要なのかという視点も精査が必要である。現状分析において、特に手術医療が求められる視点が、より感染対策や安全な手術医療の実施にシフトするため、周術期ビッグデータを活用した手術患者のアウトカムという視点において、臨床指標の探索という本研究のテーマも、必要な現状データの分析や追加が求められていると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため研究が滞っている。その理由として、コロナ対策のために臨床業務が忙しく研究に割く時間がとれないこと、コロナ対策を研究よりも最優先とする必要があること、データを収集してもコロナ禍のため臨床データが必ずしも平常時と合わないこと、またはデータもコロナ禍の状況を反映したデータであること、学会発表などの機会がなくなることでデータをまとめる時間を費やすのではなく、次の新しい研究に向けた取り組みが求められること、コロナ禍の現在の状況に応じた研究内容に改良する必要があることなど、様々な理由によりコロナ禍の現状に向けて努力が求められ、また研究としても従来のアイデアに縛られるのではなく、次の対策が求められている状況である。以上、何よりもコロナ禍への対応が求められ、その求められる範囲や内容の精査が必要とされている。 よって適切な研究成果に向け、この研究は1年間の研究猶予を申請している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在までの研究成果をまとめ、次の科研費研究への引き渡しを考慮しながら、研究を遂行する予定である。まず(1)として、すでに抽出したデータのマイニングを継続し、適切な切り口が見つかるまで試行を継続する。その上で新たな指標の抽出が得られるように、最終年度として成果に結びつけられるように工夫したい。(2)として、新たに導入した医療安全や効率化・標準化を目指した疫学研究の新たなアルゴリズムの抽出から成果に結びつける取り組みを加速したい。(3)は、診療過程から医療全体が俯瞰できるアルゴリズムが医療安全や一連の診療経過におよぼす支援システムが効率化や質向上に寄与できないか検討に実際に入っていることから、この点においても(2)と同様に、成果に向けて取り組みを加速したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、研究遂行が計画通りに実施できなかった。 今後の使用計画は、次年度繰越額が小額であるため、次の科研費研究に合わせて執行する予定である。
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