20年度は研究に充てる時間の多くを周術期医療におけるコロナ対策などの臨床業務に宛てることで通常とは異なるコロナ禍の対応を行った。そのため21年後まで研究を繰り越するなど今回の研究期間の延長を行った。 最終年度も継続して術中管理の安全性を高めるための周術期バイタルサイン変化のアルゴリズムの改良を行っている。この研究は、実際のバイタルサインデータを活用して周術期バイタルサインアルゴリズムを抽出することで、臨床麻酔の現場に応用することが可能になる。また具体的なシミュレーションを行うことにより、術中管理などにおける危険予知予測が可能となることや、医療安全の視点から術中の患者管理において麻酔科医だけでなく新しいアルゴリズムによるリスク回避が可能になると考えている。現在は知的財産確保のために詳しい内容は公表していないが、本研究「周術期ビッグデータを活用した手術患者アウトカムに及ぼす臨床指標の探索」において、患者アウトカムの視点として、まず術中管理の質向上や医療安全の視点を設定し、これの達成を目標として取り組んだ。 4年に及ぶ今回の研究実績では、業務の標準化や効率化といった現場における業務改善、新しく開発・導入したDWHの構築、解析方法の検証だけでなく、このDWHによる更なる可能性として、周術期バイタルサインにかかるアルゴリズムの構築を目指した。 まだ論文報告にまでは至っていないが、今後もこの研究を続けることで、手術医療を受ける患者が安全で質が高い医療を受けられるよう、周術期ビッグデータを活用した知見が享受できる仕組みを構築したい。
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