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2018 年度 実施状況報告書

急性呼吸不全において肺傷害の最小にする新しい人工呼吸法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K08815
研究機関大阪大学

研究代表者

内山 昭則  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00324856)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードECMO / THAM
研究実績の概要

強い自発呼吸の抑制にはECMOが効果的であるが、高流量の体外循環には問題点も多く実施にはしばしば困難を伴う。これに対し低流量の体外循環によるECCO2R(Extra Corporeal CO2 removal)は施行しやすいが、その効果に限界がある可能性がある。ECCO2Rにアルカリ化薬投与を追加することによる自発呼吸努力の抑制効果についてCO2吸入呼吸不全家兎モデルを用いて検討した。【方法】プロポフォール麻酔下の家兎を気管切開し、頸動脈から動脈ライン、外頚静脈に7Fr10cmダブルルーメンカテーテルを挿入した。換気条件はAssist/controlモード、FiO2 0.4、PEEP 2、Pi 6、f 10、Ti 0.5とした。安定後、4%のCO2を吸入し30分後にECCO2Rを開始した。ECCO2R条件は、血液流量10ml/㎏BW、酸素ガス流量は送血側の血液pHが7.6になるように調整した。ECCO2R開始30分後に生食群、NaHCO3群、トロメタモールTHAM群の3群に分け、NaHCO3とTHAMの投与量は投与前のBEを基準にBE+10になる量を最初の15分間で投与した後、1時間あたり同量の速度で135分間投与した。自発呼吸努力の程度は体重当たりの分時換気量MVで評価した。【結果】MVはCO2吸入前0.38 ± 0.06、CO2吸入30分後0.72 ± 0.12、ECCO2R開始30分後0.56 ± 0.10 (L/min/kgBW)でありECCO2Rによって低下した。アルカリ投与後のMVは生食群0.56 ± 0.13、NaHCO3群0.46 ± 0.03、THAM群0.38 ± 0.05(L/min/kgBW)であり、THAM群では生食群よりも低かった。低流量ECCO2Rは自発呼吸努力の抑制に有効であった。ECCO2RにTHAM投与を組み合わせるとその効果は増強した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

膜型人工肺を用いた体外循環モデルを作成することに成功したため、順調に進行している

今後の研究の推進方策

CO2吸入による呼吸性アシドーシスモデルのウサギに対し、VV-ECMOを用いた人工肺によるCO2除去が自発呼吸努力に及ぼす効果、および回路内の酸塩基平衡の補正がその効果を修飾しうるかどうかを検討する。VV-ECMOは患者治療に用いられているが酸塩基投与によるVV-ECMOについては方法や効果については全く未知であるため、動物実験を行う。CO2吸入呼吸不全モデル家兎を用いてECMO開始30分後にデータを測定したのちECMOの人工肺直前からHCl(1 mEq/mL)の投与を開始する。HCl投与量は目標のBEを-20とし、1時間あたりBE値に基づいた補正量((脱血側血のBE+20)×体重[kg]×0.2 mEqの相当量))の速度で投与する。ECMOの送血はpH7.6となるように人工肺ガス量を調整する。
HCl開始30分後にデータを測定したのちECMO送血カテーテルからNaOH(1 mEq/mL)の投与を開始する。NaOHの投与量は目標の動脈血BEを+10とし、1時間あたりBE※9値に基づいた補正量((動脈血-BE+10)×体重[kg]×0.2 mEqの相当量))を15分で投与した後、1時間あたり同量の速度で投与する。

次年度使用額が生じた理由

実験に使用した薬品が計画より少なく済み残金が発生した。次年度の実験費に使用する計画である。

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公開日: 2019-12-27  

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