研究実績の概要 |
人工呼吸管理を要する重症新型COVID-19肺炎患者の治療においては、肺傷害を最小限にする人工呼吸法が予後を大きく左右する因子となります。大阪大学附属病院集中治療部では、これまでの知見を元に肺傷害を最小限にするための治療プロトコールを作成し、治療にあたってきました。このプロトコールは、気道内圧と一回換気量を制限する肺保護換気に加えて、適切なPEEP(陽圧呼気終末気道圧)、筋弛緩による過大な自発呼吸努力の抑制、および腹臥位が含まれています。我々は、このプロトコールと予後を左右する因子についての後方視的検討を、米国呼吸療法学会の機関紙である『Respiratory Care』誌に以下のように発表しました。"Factors associated with prolonged invasive mechanical ventilation in patients receiving prone positioning protocol with muscle relaxants for severe COVID-19 pneumonia. Taiki Hoshino MDa, Akinori Uchiyama MD PhDa*, Natsuko Tokuhira MDa, Suguru Ishigaki MDa, Moe Koide MD PhDa, Naoko Kubo MDc, Yusuke Enokidani MD PhDa, Ryota Sakaguchi MD PhDa, Yukiko Koyama MD PhDa, Takeshi Yoshida MD PhDa, Haruhiko Hirata MDb, Yuji Fujino MD PhD." このように、我々の研究によって重症COVID19肺炎において人工呼吸期間を延長させる因子として、ウィルス排泄が継続すること、ICU入室前のステロイド投与量が多いこと、リンパ球数の回復速度が遅いこと、およびフィブリノゲン分解生成物(fibrinogen degradation products)FDPが多いことが示されました。
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