グルタミン酸とGABAは、中枢神経系の主要な神経伝達物質であり、興奮と抑制のバランスを保っている。ところが、痛み・不安・ストレスなどの多くの要因で、平衡バランスは容易に変動する。これまでの研究業績から、マウスでの遺伝子改変操作と薬理学的操作によって意図的に細胞外GABA濃度を変化させた時、1)麻酔薬の鎮静、2)記憶の分子基盤と考えられる海馬シナプス可塑性の抑制、3)痛み刺激に対する逃避閾値、がどのように変化するかを研究する。本研究は、GABA作動薬である麻酔薬が、興奮と抑制バランスを変化させることで脳の臨界期にどのように影響するか、という新しい観点からの研究であり、ここに独自性と創造性がある。
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