研究課題/領域番号 |
18K08825
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
林 浩伸 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30464663)
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研究分担者 |
松浦 豊明 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10238959)
岡本 全弘 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (30458038)
吉谷 健司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (30524029)
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (50295789)
緒方 奈保子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60204062)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
谷口 繁樹 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90183467)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心臓血管外科手術 / 人工心肺 / 脳分離体外循環 / 眼血流 / 脳血流 / レーザースペックルフローグラフィ / 術後脳障害 |
研究実績の概要 |
人工心肺を用いた心臓血管外科中において、適切な脳灌流が維持されることが術後脳障害を予防するために重要である。術中にレーザースペックルフローグラフィによって眼血流を測定することで術中脳灌流の状態を評価できることが分かっている。(Hayashi H, et al. J Cardiothorac Vasc Anesth. 2018;32:702-708)本研究では、人工心肺を用いた心臓血管手術中の脳灌流を適切に行うためには、レーザースペックルフローグラフィによる眼血流値をどの程度に維持すればよいのかを調査する。 これまでレーザースペックルフローグラフィを用いた眼血流測定で得られた数値が、どの程度の範囲なら脳機能が正常に保持されるかが不明であった。これを解決するために内頚動脈内膜剥離術を予定された15症例において、内頚動脈の遮断後の運動誘発電位モニタリングによって運動野の虚血を評価した。なお、運動誘発電位モニタリングとは、経頭蓋的に運動野を電気刺激したのちに四肢で筋電位を記録するすることで下行性運動野の統合性を評価するものである。全15症例のうち5症例で内頚動脈遮断直後に運動誘発電位モニタリングで脳虚血を検出した。運動誘発電位モニタリングで虚血を検出した群(n=5)と検出しなかった群(n=10)のレーザースペックルフローグラフィでの眼血流値は、ベースライン値と比較してそれぞれ18.7±12.7%と80.1±32.2%であった(P=0.001)。 この結果から心臓血管外科手術中において常温であれば、レーザースペックルフローグラフィによる癌血流値はベースライン値と比較して30%以上を維持することが脳保護につながる可能性があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で対象としているのは、胸部大動脈瘤に対して外科的に人工血管置換術を行う症例である。しかし近年では、ステント内挿術による血管内治療の割合が増えてきたため本研究の対象症例が減少したため。
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今後の研究の推進方策 |
人工心肺の灌流量とレーザースペックルフローグラフィによる眼血流値の関係を調査する。 レーザースペックルフローグラフィによる眼血流の最低値と術後脳障害の関連を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの集積が不十分なために学会発表の機会が少なかったため。
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