健常成人男女80名を対象に,痛覚感受性および中枢性疼痛調節機能と,腸内細菌叢組成,排便状況(便形状,便秘状態),心理状態(不安,カタストロファイジング),食習慣(food frequency questionnaire: FFQ)の関係を調べた。腸内細菌叢組成は、T-RFLPフローラ解析にて行った。T-RFLP(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism) 解析は、末端蛍光標識したプライマーセットで鋳型DNA をPCR増幅し、制限酵素による消化後、フラグメント解析する方法である。DNA塩基配列の違いから制限酵素切断部位が異なることを利用し、検出ピークの強度、位置、数により評価・比較する断片多型性解析する。各分類群由来のDNA 断片がT-RFLP プロファイルとして得られ、細菌叢を評価する。一方、中枢性疼痛調節機能は,上行性疼痛伝達系の機能指標とされるtemporal summationと下行性疼痛抑制系の機能指標とされるconditioned pain modulationを用いて評価した。得られた値から,痛覚感受性,中枢性疼痛調節機能と腸内細菌叢組成,排便状況の単相関分析を行い,さらに説明変数に心理状態や食習慣を加え回帰分析を行うことで,腸内細菌叢が痛みの認知や調節機能に直接的に関与しているかを調べた。健常成人男性で圧痛閾値、Aδ繊維閾値、C線維閾値と細菌門の組成量に優位な関係性があることがわかった。現在、論文作成して海外医学雑誌に投稿中である。
|