慢性疼痛患者190名において、疼痛強度と、腸内細菌叢組成,排便状況,心理状態の関係を調べた。腸内細菌叢組成は、T-RFLPフローラ解析にて行った。T-RFLP(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism) 解析は、末端蛍光標識したプライマーセットで鋳型DNA をPCR増幅し、制限酵素による消化後、フラグメント解析する方法である。DNA塩基配列の違いから制限酵素切断部位が異なることを利用し、検出ピークの強度、位置、数により評価・比較する断片多型性解析する。各分類群由来のDNA 断片がT-RFLP プロファイルとして得られ、細菌叢を評価する。得られた値から,痛覚感受性や慢性痛の疼痛強度と腸内細菌叢組成,排便状況の単相関分析を行い,さらに説明変数に心理状態を加え回帰分析を行うことで,慢性痛患者で腸内細菌叢が痛みの認知や調節機能にどのように関与しているかを調べた。慢性痛患者を全身痛、頚部痛・上肢痛、腰下肢痛、頭痛と4群に分けて、この4群による腸内細菌叢組成の特異性を明らかにした。この結果に対する論文を作成し、海外医学雑誌に投稿し、現在、再投稿中である。
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