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2020 年度 実施状況報告書

エビデンスに基づいた幹細胞移植による神経障害性疼痛の新たな治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 18K08842
研究機関独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部)

研究代表者

白石 成二  独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, 医師 (90216177)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / 神経障害性疼痛 / アロディニア
研究実績の概要

本研究の目的は、神経障害性疼痛動物モデルに対して脂肪由来の幹細胞を移植して①痛覚過敏やアロディニアなどの症状を改善するメカニズム②障害神経部位を再生修復するメカニズムを明らかにすることである。
①痛覚過敏やアロディニアなどの症状を改善するメカニズム
坐骨神経部分結紮神経障害性疼痛モデルラットを作製10日後に脂肪由来幹細胞を投与して疼痛閾値の変化をvon Frey test とDynamic Weight Bearing testで評価した。幹細胞移植により疼痛閾値の改善を認め効果は数日持続した。ラット脊髄の免疫組織化学染色により炎症性マーカーのIba-1陽性細胞は、幹細胞移植ラットで有意に減少していた。本研究で用いた脂肪由来の幹細胞をLPS刺激するとB7-H1とB7-H2の分泌量が約2倍以上増加することをELISA法にて確認した。
②障害神経部位を再生修復するメカニズム
ラット坐骨神経の結紮した神経障害部位に組織学的に脱髄が観察され、幹細胞移植ラットではこの脱髄が組織学的に改善されていた。このメカニズムについてすでに報告のある脊髄損傷モデルでの幹細胞による修復過程に対する効果を検討したが、うまく行っていない。本研究で用いた脂肪由来の幹細胞をLPS刺激するとneurotrophic factorの分泌量が増加することをELISA法にて確認した。今後は、これら種々の神経増殖因子などによる脱髄を改善するメカニズムについて幹細胞移植の効果を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

①痛覚過敏やアロディニアなどの症状を改善するメカニズムについては計画通りに順調に進んでいる。幹細胞を刺激するという新たなメカニズムも解明できた。
②障害神経部位を再生修復するメカニズムについては組織学的に脱髄が改善されていることを確認した。このメカニズムについてすでに報告のある脊髄損傷モデルでの幹細胞による修復過程に対する効果を検討したが、うまく行かなかった。本研究で用いた脂肪由来の幹細胞をLPS刺激するとneurotrophic factorの分泌量が増加することをELISA法にて確認した。今後は、これら種々の神経増殖因子などによる脱髄を改善するメカニズムについて幹細胞移植の効果を検討する予定である。

今後の研究の推進方策

本年度は以下を行う予定である。
①痛覚過敏やアロディニアなどの症状を改善するメカニズムについてはB7-H1やB7-H2がミクログリアに対して抑制的に作用し、神経障害性疼痛動物の痛覚過敏やアロディニアなどの症状を改善するか検討する。
②障害神経部位を再生修復するメカニズムについては組織学的に脱髄が改善されていることを確認した。このメカニズムについて脱髄に関与する物質に対する幹細胞の影響を検討する予定である。神経修復機序について従来報告の神経増殖因子だけでなくB7-H1についても実験を行っている。

次年度使用額が生じた理由

2019年6月に千葉県国立国府台病院から広島県国立病院機構呉医療センターに転勤になった。実験器具等を最初から新しくセットアップするのに時間を要したこと、臨床の仕事量も増加したことなどで十分な研究時間が確保できなかった。また、2020年度は新型コロナウイルスの影響で研究を行うのに必要な物品や時間が制限され使用額が少なかったと考えられる。今年度は計画通りに研究を遂行し助成金を適切に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 脂肪および臍帯由来間葉系幹細胞は炎症および脱髄を改善し神経障害性疼痛を緩和させる2021

    • 著者名/発表者名
      宮野 加奈子、池畑 農、大島 佳織、吉田 有輝、能勢 泰寛、吉原 誠一、隠岐 勝幸、白石 成二、宇津 美秋、野中 美希、樋上 賀一、成田 年、上園 保仁
    • 学会等名
      第94回日本薬理学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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