研究課題/領域番号 |
18K08843
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森本 裕二 北海道大学, 医学研究院, 教授 (00250457)
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研究分担者 |
斉藤 仁志 北海道大学, 大学病院, 講師 (10455694)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 手術 / 麻酔 / 認知機能 / サイトカイン / 神経炎症 |
研究実績の概要 |
我々は、老化や認知症患者に対する手術侵襲が中枢神経へ与える影響を老化促進マウスであるsenescence-accelerated mice (SAM)を用いて検討することを目的としている。 昨年度は、20週令の老化促進と学習、記憶障害を呈する老化促進マウスsenescence-accelerated prone mice 8(SAMP8)と、老化促進を示さないsenescenceaccelerated mice resistant 1(SAMR1)を用いて無作為に、全身麻酔下に脛骨骨折手術を行う手術群、麻酔のみ行う麻酔群、手術や麻酔を行わないコントロール群に割り付け、手術の6時間後に血漿と海馬を採取し、ELISA法によるサイトカインのひとつであるIL-6の測定を行った。この実験でSAMP8では麻酔群、手術群でIL-6の上昇を認め、SAMP8においては、麻酔単独でも神経炎症を惹起しうることが推察された。 本年度は、行動学実験の準備と実験を行った。行動学実験にはfear conditioning test を用いた。手術の30分前にtraining を行い、術後3日の時点でtestを行った。SAMP8はSAMR1に比較してコントロール群でのfreezing%の低下があり、元の記憶力低下が示された。SAMR1とSAMP8において、コントロール群と比較して脛骨手術群でのfreezing%の低下が認めており、手術による記憶障害が生じていることが推察された。麻酔群の行動学実験については、本年度施行予定である。 HMGB1腹腔内投与後の海馬におけるIL-6の測定も行ったが、予測に反して海馬でのIL-6上昇、記憶力の低下は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動学実験の機器準備、習熟に時間を要したが、新しい知見も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、老化や認知症が神経炎症に与える影響について詳細に検討するため、IL-6製剤やその阻害剤投与後の海馬におけるサイトカインや、行動学の検討、海馬ミクログリアの免疫染色法での観察等を行う。
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