研究課題/領域番号 |
18K08845
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
橋場 英二 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (10374844)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ブドウ糖初期分布容量 / 心臓前負荷 / 敗血症 / エンドトキシン / 血管収縮薬 / Stressed volume |
研究実績の概要 |
ブドウ糖初期分布容量(IDVG)は、過去の研究で敗血症時に心機能にあまり影響されずに、心臓前負荷の一指標である中心部細胞外液量を評価できることが示唆された。 2019年度は,豚エンドトキシンによる敗血症モデルを作成し、ノルアドレナリン(NA)、バゾプレッシン(VP)で血圧を上昇させた時のIDVGの変化を検討した。エンドトキシンにより収縮期血圧(sBP)、CO、IDVGはコントロールの前値に比べ、それぞれ、66%、62%、82%へ有意に減少した。その後NAとVPによりそれぞれ、153%、140%までsBPを上昇させたが統計学的に有意なCO、IDVGの変化は認められなかった。しかし、敗血症により減少する体液量を補正しない状態での昇圧剤投与は極めて不安定な血行動態となり、昇圧剤のIDVGに対する効果の評価は難しいことが考えられた。そこで、純粋にNAやVPによる昇圧剤のIDVGに対する効果を検討した。その結果、NAとVPでsBPをコントロール値に比べそれぞれ、150%、132%まで上昇させた時、NAはCOとIDVGをそれぞれ、124%と110%に上昇させるが、VpはCOとIDVGをそれぞれ、78%と70%にむしろ有意に低下させることが判明した。また、VPによる昇圧時HRは有意な低下を示さず、CO低下の原因に心臓前負荷の減少が含まれることが示唆された。更に、これらの実験のデータを用いてIDVGとCOとの相関関係を検討すると相関係数0.74の良好な相関関係を示すことが判明した。過去の研究からIDVGは輸液負荷やrefillingのような体液量の変化による心臓前負荷の変化を反映し、中心部細胞外液量を表すと考えられていたが、NAやVPのような血管収縮薬による心臓前負荷の変化も捉えていることが分かり、ガイトンの提唱するstressed volumeの変化を示すことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は弘前大学医学部附属動物実験舎が改修工事のため、2020年より使用できなくなる予定であったため、動物実験を主に進めたため。
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今後の研究の推進方策 |
実験の結果をまとめつつ、臨床研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
節約しながら動物実験を行った結果と考える。臨床研究と動物実験に使用する。また、研究成果の発表にも使用する。
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