1. <急性疼痛消失時の脳活動>慢性痛患者19名および健康被験者25名を対象に、温熱刺激によるオフセット鎮痛パラダイムを用いて機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を施行した。慢性痛患者は痛み消失時に頭頂感覚連合野と下側頭回で高い脳活動を呈し、そのBOLD信号が破局化思考スコアと相関した。以上の結果から疼痛慢性化機構を論じる。 2. <オフセット鎮痛脳活動の研究>慢性痛患者16名および健康被験者17名を対象に、上記同様オフセット鎮痛fMRIを施行した。慢性痛患者はオフセット鎮痛が抑制され、視床、上・中側頭回、上前頭回のBOLD信号が小さかった。これらの領域がオフセット鎮痛に関与する可能性がある。詳細は2022年国際疼痛学会で発表予定。 3. <慢性痛患者の白質機能変化の研究>慢性痛患者26名および健康被験者18名を対象に全脳拡散強調画像及び三次元高精細解剖画像を取得し、オフラインでオフセット鎮痛検査を試行した。オフセット鎮痛の大きさは両群間に差がなかった。全脳FBSS解析の結果、慢性痛患者では脳梁、放射冠など広範囲に渡る白質で有意にfractional anisotropyが低下し、有意にradial diffusivityが増加した。Voxel-based morphometryの結果、楔前部における灰白質体積が有意に低下した。これらの変化は痛み破局化思考スコアと相関し、痛みの情動認知障害を反映した。詳細は2022年国際疼痛学会で発表予定。 4. <ペルチェ素子熱痛み刺激装置の比較試験>健康被験者24名を対象に、Medoc社製PATHWAYとIntercross社製Intercross-220と両方を用いてオフセット鎮痛を計測した。その結果、両者とも同程度のオフセット鎮痛を計測し得たが、後者の方が痛みスコア最大値が約40%低かった。詳細は2022年日本ペインクリニック学会で発表予定。
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