研究課題/領域番号 |
18K08851
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
石田 公美子 (松尾公美子) 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (80467191)
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研究分担者 |
石田 高志 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (60531952)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 手術後痛 / 炎症性疼痛 / 神経新生 / 血管新生 |
研究実績の概要 |
Brennannらにより報告された足底切開モデルは、基盤研究において広く用いられる術後痛モデルである。このモデルを用いた研究から、術後痛が慢性炎症による痛みなどと機序が大きく異なることが示されてきた。しかし、手術を必要とする腫瘍性・炎症性の原疾患の病巣では、虚血、炎症、神経原性炎症、免疫応答などに伴い、血管新生と神経新生が生じている。すなわち、Brennannモデルにおける創部(皮膚・皮下・筋肉)へ切開は外傷痛モデルに過ぎず、病巣部の新生神経や新生血管の障害による神経障害性疼痛、虚血性疼痛、炎症性疼痛などが複合的に関与した、真の術後痛モデルモデルの確立が求められる。本研究は、(1)複合的な疼痛状態である新たな手術後痛モデルを確立し、(2)術後痛における神経障害や新生血管障害による痛みのメカニズムを明らかにし、新たな鎮痛法の開発を目指すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たな術後痛モデルの作成と行動評価、足底浮腫の評価に、当初の予定よりも時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、あらたな手術後痛モデルの脊髄、後根神経節、末梢組織において神経新生、血管新生の免疫組織学的検討を行う。計画通りに進まない場合には、ウエスタンブロッティング解析やリアルタイムPCR法を用いて神経新生や血管新生に関与するたんぱく質やmRNAを定量する。また、術後痛モデルの脊髄、疼痛部位へのCGRPやアドレノメデュリン受容体拮抗薬などを投与し、自発痛、侵害性機械刺激、侵害性熱刺激対する逃避行動や浮腫の変化を記録し、鎮痛効果や抗炎症効果を評価する。さらにラットの脊柱を固定し、腰部脊髄を露出し、脊髄後角深層(ⅤーⅥ層)から細胞外記録を行い、Ⅱ層からin vivoパッチクランプを行い、単一ニューロン活動を記録する。受容野中心に触・圧・ピンプリック、ピンセットによるピンチ刺激などの機械刺激を与え、ニューロン応答を記録する。同様に受容野中心に、45℃の熱刺激、10℃の冷刺激を加え、同様に応答を記録する。 以上より得られた結果は、成果に応じて国内、国際学会で発表し、最終的には論文として発表する。
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