研究課題
ノックインマウスの作製の準備は進めていたのだが,どの部位に変異を入れるべきかということが最終的に決定できなかったことなどの理由からノックインマウスを作製するまでには至らなかった.そのため,ノックインマウスを作製した後の細胞による機能解析を行うための実験系を作成することにした.過去に凍結保存していた筋芽細胞を解凍し,実験に使用した.悪性高熱症の原因遺伝子であるリアノジン受容体およびジヒドロピリジン受容体に遺伝子変異を持つ筋芽細胞のうち,過去に病的であると確認されている遺伝子変異を持つ筋芽細胞2種類についてカフェイン刺激による細胞内カルシウム濃度の変化を測定した.リアノジン受容体が遺伝子変異した筋芽細胞ではカフェインのEC50は正常コントロールに比較して有意な低下を認めた.また,ジヒドロピリジン受容体が遺伝子変異した筋芽細胞ではカフェインのEC50は有意な低下を認めるものがある一方で,正常コントロールに近い結果となるものもあった.今回は正常コントロールに比較して明らかにEC50が低下していると予想される検体を使用したが, ジヒドロピリジン受容体に遺伝子変異がある筋芽細胞では有意な低下を確認できなかったものがあった. リアノジン受容体に遺伝子変異がある場合に比較して,そのほかの遺伝子に遺伝子変異が存在する場合は悪性高熱症の症状が緩やかな可能性があり,それらが病的であるかを判定する場合には様々な実験系を組み合わせて判定していく必要があることが示唆された.ノックインマウスを作製した際には個体に吸入麻酔薬を使用した時の体温の反応などに並行して,細胞実験なども組み合わせて行っていく予定である.
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巻: 4 ページ: -
10.1155/2021/8845129. eCollection 2021
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