研究実績の概要 |
μオピオイド受容体(MOR)を安定的に発現するHEK293細胞を用い、オピオイド鎮痛薬投与によるMORの細胞内動態変化および活性変化を解析してきた。オピオイド鎮痛薬としては周術期に用いられるレミフェンタニルとフェンタニルを引き続き対象とした。CellKeyアッセイおよびcADDis cAMPアッセイ、β-arrestinアッセイ, Internalizationアッセイの4つの手法を用いて評価した。その結果、CellKeyアッセイ、cADDis cAMPアッセイ、β-arrestinアッセイにおいて、レミフェンタニルおよびフェンタニルを単回投与した際の用量反応曲線より両者のEC50およびEmaxは同等であることが示された。また、レミフェンタニルおよびフェンタニルを、濃度を変えて反復投与しCellKeyアッセイを用いて脱感作の程度を測定したところ、フェンタニルはレニフェンタニルよりも脱感作を生じやすいことが明らかとなった。次にレミフェンタニルからフェンタニル、フェンタニルからレミフェンタニルと種類を変えて連続投与したところ、レミフェンタニル→フェンタニルの順では脱感作が生じにくく、逆にフェンタニル→レミフェンタニルの順で投与すると脱感作の程度が強いことが明らかとなった。脱感作に影響するシグナル伝達経路の解析として、PKC/ERK/JNK/GRKに対する阻害剤を用いた実験を行ったが、いずれも脱感作を改善させなかった。リアルタイム可視化アッセイであるInternalizationアッセイの結果、レミフェンタニルの方がフェンタニルと比較して低濃度からinternalizationを引き起こすことが明らかとなった。
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