研究課題/領域番号 |
18K08859
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
丸田 豊明 宮崎大学, 医学部, 講師 (20363591)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オプトジェネティクス / 痛み / 実験モデル動物 / 行動評価 / ナトリウムチャネル / 脊髄後根神経節 |
研究実績の概要 |
神経障害性疼痛の発生や進行には脊髄後根神経節に発現している電位依存性ナトリウムチャネル(特に末梢神経のみに発現しているNav1.7、Nav1.8、Nav1.9)が深く関与している。脊髄後根神経は古典的にはその形態により分類され、ナトリウムチャネルのそれぞれのサブタイプの発現にも特徴がある。しかし、今までは脊髄後根神経を機能の面で分類するのは難しかった。本研究は、Cre-loxPシステムを用いた遺伝子操作マウスを作製することで、ナトリウムチャネルのそれぞれのサブタイプが発現する神経細胞特異的に光感受性チャネル(興奮系:ChR2など、抑制系:Archなどを発現させ、オプトジェネティクス技術により、その特定の神経(細胞)のみを興奮あるいは抑制することができる実験モデル動物を作製することを目的としている。この新しい実験モデル動物の発明により、痛みの発生と維持・進行において、特定のナトリウムチャネルのサブタイプが発現した神経細胞がどのような働きを担っているのかを探ることができるようになる。CreマウスとしてNav1.7-Creマウス、Nav1.8-Creマウス、Nav1.9-Creマウスを、floxマウスとしてAi32マウスとAi35マウスあるいはこれらと同等のマウスを導入する計画である。 平成31年度はNav1.7-CreマウスとAi32マウス(興奮系の光感受性チャネルChR2を組み込んだfloxマウス)を交配して目的のマウスを繁殖させることができた。青色光を足底に照射すると足を引っ込める行動を確認した。また、Nav1.9-Creマウスを作製し、繁殖を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では遺伝子操作動物としてラットを使用する予定であったが、作製期間やすでに作製されているlineがあるという利便性から、マウスを使用することとした。平成30年度は、遺伝子組換え実験を行う上での申請書等を作製するのに時間を費やした。令和1 (平成31) 年度はNav1.7-Cre;Ai32マウスの繁殖が順調に進み、行動実験を行うことができた。新しくNav1.9-Creの導入を行い、繁殖を進めている。したがって、現在のところ進行状況は概ね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
Nav1.9-CreマウスとAi32マウスを交配して目的とするマウスを作製する。Nav1.8-CreマウスとAi35マウスの導入準備をしていたが、新型コロナ感染症の影響で供給がストップしており、今後の進展は状況不透明である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通り使用しましたが、単独では必要な物品が購入できないほどの少額の残高が生じてしまいました。繰り越して、次年度使用額と合わせ、必要物品を購入する予定です。
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